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映画を観よう その1 エリアン:ロムルス 

  • 2024-09-28
  • 2024-09-28
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初めに

ずっとやりたかった映画に関する記事、第一号です。2024年9月某日、友人達と一緒に映画エイリアン:ロムルス(原題Alien:Romulus、2024年制作)を観に行きました。監督・脚本はファデ・アルバレス。映画情報を得るのに役立つ海外サイトIMDbで見ると、まだそこまで映画を撮っていない人のようです。私は聞いた事がありませんでした。

製作はリドリー・スコット。言わずと知れたエイリアン一作目の監督です。エイリアン:ロムルス(以下ロムルス)の時系列はエイリアン(原題Alien、1979年制作)とエイリアン2(原題Aliens、1986年制作)の中間、2142年が舞台となっています。役者陣は若く、全く見覚えのない人達ばかりでした。

YouTubeでたまたま予告編を観たのが劇場へ足を運んだきっかけですが、とてもセンスがある動画で、何となく良作の予感がありました。日本版より海外版の予告編の方が、良い趣味していたと思います。予告で映画内容の殆どが露出してしまったのは残念ですが・・・

まだ公開中ですので、内容を知りたくない人はそっと閉じて下さい。見て損の無い映画だと思うので、興味のある人は公開終了前に観に行きましょう。

筋書

舞台となるのは地球から65光年離れたジャクソン星。65光年も離れていると言う事は、ワープ航行技術が既に確立されている道理になります。ジャクソンは採掘目的で開発されている植民星で、ウェイランド・ユタニ社がその管理をしているようです。過酷な労働を強いられていた主人公のレイン・キャラダインは他の惑星への移住を希望していました。任期満了に伴い、事務局で移住を申請したものの却下され、しかも勝手に契約を延長されてしまうのでした。そこで他の若い仲間達を誘ってジャクソンから脱出し、ユヴァーガ星へ逃避しようと計画。ジャクソンから盗んだ貨物船で脱出し、燃料を調達する為に宇宙ステーションロムルスへ侵入したまでは良かったですが、そこで未知の生命体と遭遇し・・・言うお話。ちなみに、宇宙ステーションはロムルスレムスと言う二層からなり、この名前はローマの建国神話が由来になっています。そしてこの宇宙ステーションの名前が映画の題名にもなっています。

感想

私はエイリアンは一作目から全て(AVP二作を含む)観ているので一家言ありますが、今作は最新版でありながらどこか懐かしい感じがしました。他のサイトにあるような異口同音な内容とは一味違った視点で、映画について忌憚の無い評価をしたいと思います。

〇音楽・音響について

冒頭は真空の宇宙空間らしい無音部分から始まっていたと記憶しています。耳が痛くなるような静寂から始まります。背景音楽の使い方は配慮がされ、無駄撃ちは少なかったと思います。過去作品にあったような、無駄に音楽を使わない演出に近いものを感じました。音楽や効果音は映画を盛り上げるのに役立ちますが、映像や役者の演技だけで伝えられるところがありますので、やり過ぎは逆に映画の質を落とします。例えば、エイリアン2では入植地の生存者の捜索中、音楽を完全に切って動体センサーの音だけが響いていた場面は、とても緊張感が伝わって来ました。

宇宙空間は音を振動させる空気が無いのでとても静かですが、作中ではその静寂感が上手に利用されている場面がありました。一方で、要所要所で盛り上げる為の音楽が挿入されたり、観客を驚かせる為のお化け屋敷的な、急でびっくりさせるような効果音は、使い古された手法ですが逆に新鮮に感じました。

計器類が起動する時の音は多分、旧作に使われていた音そのままだと思います。最新の映画なのに、古い効果音を違和感なく受け入れる事が出来ました。その当時から、未来的な効果音の創造はとても洗練されていたのだと思います。

〇映像、舞台装置・小道具等について

ロムルスに登場する貨物船や宇宙ステーションの計器類や様々な画面、照明等はどこか古めかしい感じがします。初代エイリアンでも現代の液晶ではなく、ブラウン管みたいな画面が登場していたと思います。未来の予想・想像はとても難しいので、SF映画やアニメは時々後悔する内容が登場します。アニメ機動戦士Zガンダムにジュースのプルタブが出てくるのが良い例です。しかしエイリアンは、撮影当時の文明水準からはとても想像出来ないような、洗練された未来的な舞台が作り上げられていました。

今作でも監視カメラの映像の粗さや、画面に映し出された映像や文字の粗末な感じは、一作目や二作目を踏襲したものになっています。しかしそれが「未来世界なのにあり得ない!」と批判する気が起きないような、説明が難しいですが、どこか「納得させられてしまう」デザインであるのは認めざるを得ません。特に序盤だけ見る限りは、80年代の空気を強く感じさせました

古き良き映像表現を残しつつも、宇宙ステーションが崩壊してばらばらになっていく描写の細かさや、現代風の高画質録画、暗過ぎず適切で何が起きているかよく分かる映像の明るさ・鮮明さ等、新旧を上手く融合した撮影がされていると思います。

〇話の展開、その他について

話の展開は、はっきり言ってほぼ100%先が読める内容です。特別凝った内容ではなく、単純明快な展開です。凶暴な怪物にじわじわと追い詰められ、数を減らしていく登場人物達。限りある物資、生命の刻限等、旧作から何も変わらない王道的な内容になっています。私が子供の頃初めて観たエイリアンは、〇〇洋画劇場みたいな、テレビで放映されていた吹き替え版です。エイリアン2が最初に観た作品ですが、その時から感じていたのは理不尽さだと思います。子供ながらに「映画だから恐怖感を煽るために誰かが死ななければならない」のを理解していたのだと思います。ああ、この人は死ぬんだなと展開が分かるのですが、大人の都合で死ななければならない登場人物に対する憐憫は、ある意味怪物に襲われて死ぬのを見るより怖いのかもしれません。

今作でもアンドロイドが登場しますが、ウェイランド・ユタニ製のアンディ(レインの弟分)がそれです。旧作のビショップハイパーダイン製(サイバーダインではない)でした。これまでのエイリアン作品はアンドロイドが暴走して人間を襲ったり、ある時はとても協力的で役に立ってくれたり、運命を左右するような存在として登場してきました。今作はアンディとルークの二体が登場します。アンドロイドは開発元の利益を優先するように設計されているので、案の定冷や冷やさせる行動を取ってくれました。アンディは役者の演技力もあるのか、これまでの作品と違ってあまりアンドロイド的な雰囲気は出ていなかったと思います。

これまでの作品はずっと、主人公は女性ばかりです。今作でもそれは変わらず、相変わらず高い行動力、状況判断の正確さ、何故か銃火器の扱いが上手いところを踏襲しています。情に厚く、それがたまに危なっかしさを伴うところも同じです。レインを含め、役者さん達の演技は特別目を惹くものは無かったと思いますが、若者らしい生命力に溢れていたとは思います。

エイリアンについて

ある意味、もう一人の主人公とも言うべき強敵エイリアン。プレデタリアンみたいな亜種やマザーエイリアンは出てきません。主にゼノモーフですが、その中でも親玉らしき個体がいたと記憶しています。改めてエイリアンのデザインを見ると、不快感・恐ろしさ・生物としての強さを感じられる洗練された外観をしています。デザイナーのH・R・ギーガーは本当に天才だと思います。

エイリアン2だと溶接された扉を迂回するため天井を這って来たり、エイリアン4(原題Alien Resurrection、1997年制作)だと同士討ちして強酸の血液を撒いて檻の床を溶かして脱出したり、凶暴なだけでなく高い知能も確認されました。ロムルスは最初から主人公達が敵生体の情報を入手していたり、エイリアン達が真っ向勝負を仕掛けてきたので、戦闘面での緊張感はあまり無かったかもしれません。

強酸の血液の恐ろしさは健在で、無重力状態で自由に動けない主人公達が、船内を漂う血液を必死に回避する場面は見物です。仲間の一人が尻尾で一突きされた後、徐々に血液を垂らされて息絶える場面は、とても痛々しく残酷でした。残酷ですが、とても良い表現だったと思います。

最後の方で「人間とエイリアンの合いの子」みたいなのが登場しますが、エイリアン4でも似たような生物が出てきました。しかし今作の個体は不快感を催すような邪悪な笑みを見せたり、母親を容赦なく殺す残虐性、より凶悪な見た目等、最後の敵に相応しい存在でした。エイリアン4では宇宙船に空いた小さな穴から吸引されるように退場したと記憶していますが、今作は主人公レインが血液を使って穴を空け、それが大穴に広がって荷室が大崩壊する展開となりました。科学的な理論はよく分かりませんが、こちらの描写の方が何となく現実的だと感じました。

銃火器について

無類の武器好き、刃物から銃火器、爆弾からミサイルまで大好きな、平和主義者のブログ主らしい視点で紹介します。物語中盤ぐらいで、ようやく凶暴なエイリアン達に対抗するための武器が登場します。それがF44AAパルスライフル(以下F44AA)です。エイリアンと言えばパルスライフル。エイリアン2でもこの手の銃器は登場しますが、そちらはM41Aパルスライフル(以下M41A)です。

F44AAは見た目から分かる通り架空の銃、所謂プロップガンです。有名なサブマシンガンM1A1トンプソンKRISS Vector(旧TDI)を合成したような外観になっています。全体的に白っぽく塗装され、映画第9地区(原題District 9、2009年制作)に登場したVector CR-21を思い起こさせます。CR-21も一部が白く塗装されていましたが、白くなるだけで未来感が出ますね。

レシーバー右側面には残弾が視認出来るLEDの目盛り表示があり、装弾数は驚きの450発です。後の時代に登場するM41Aの装弾数が99発(何故99発?)だったのに対し、F44AAが450発と言うのは外観的にもあり得ないですが、そこを突くのは野暮だと思います。ちなみに、給弾不良を防ぐ為M41Aの実際の給弾は95発だとか。

見ている限り、F44AAは自動的に射手を目標へ誘導しているようで、主人公のレインは正確にエイリアン達を射抜いていきます。搭載している光学サイトに吸い込まれるように、エイリアン達が次々に映し出される様子からもそれが分かります。発射音はエイリアン2のパルスライフルに近いですが、より重たく低い銃声が響き、肩に伝わる振動の描写も相まって、非常に見応えのある射撃でした。この銃が活躍するのはほんの一時ですが、とても満足しました。

総評

話の展開、映像等真新しいものは無かったと思います。エイリアンの旧作の雰囲気を醸し出しつつ、映像の近代化等が相まって、今の世代を取り込むだけでなく、古い層にも(古い層にこそ?)訴求するような内容だったと思います。良い意味で古さを感じる効果音や舞台装置。只の過去作品の焼き直しに堕してしまわない程度には、それなりに気を使われた細部。これで今の若者達が旧作に目を向けてくれたのなら、御の字かと。多分、今更あっと驚かせるようなねたは無いと思うので、手堅く興行的な失敗がないように作られたのかもしれません。

この作品が意図しているかは分かりませんが、未来に対する警鐘を私は感じました。未来でも搾取する権力と搾取される弱者の支配構造が続いている事。地球の外に入植しなければ生存出来なくなった人類。アンドロイド=AIの暴走。人が地球を住めない環境に変えて、制御し切れない技術を手にした時、人類が辿る運命とその末路が表われていると思います。私なら、太陽も拝めないような惑星に放り込まれたくありません。ターミネーターのスカイネットと言い、古い映画作品は未来を見据えていたのだと思います。

最後に

繰り返し観る程の内容ではないと思いますが、少なくとも劇場で鑑賞するだけの価値がある映画だと思いました。盤が出たら購入するかと言われたら、即答出来ないですが。流石に最高傑作のエイリアン2は超えられません。映画を観てから少し時間が空いてしまったので、全てを記憶している訳ではありませんが、覚えている限りの内容を整理して記事にしました。

現在はamazonプライムとかNetflixが主流かもしれませんが、私は今でもレンタルビデオ屋(言い方が古い)に足を運んで映画を借りたり、映画館の大画面や音響で作品を愉しみたい派です。劇場で得られた満足感は、払った金額以上に還元されます。駄作だとがっくりきますが。多分、私がこれまで観た映画の本数は400を超えていると思いますが、これからも映画を愉しむ趣味は続いていくと思います。パソコンやテレビの画面で満足せず、たまには劇場に行ってみましょう。

記事公開 2024年9月28日

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