初めに
2024/6/22開封、価格は2,880円。度数43.0度、容量700ml。産地はウェールズのペンダーリン蒸留所です。ウェールズはUKを構成する国の一つです。高校で習いますが、「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」が即ちUnited Kingdomです。グレートブリテンはイングランド、スコットランド、ウェールズで構成されています。このウォッカは5回蒸留で純度が高く、濾過処理をしていません。
瓶前面に「PURE GRAIN SPIRIT」の表示がありますが、グレーンと言っても玉蜀黍やライ麦ではなく、小麦を使っているようです。海外サイトの情報によると（公式サイトに記載は無い）、小麦のスピリッツに大麦のニューメイクを混ぜているとか。真っ黒な瓶に縦書きの「FIVE」の文字も黒塗りで、非常に精悍な雰囲気です。
色・香り、味わい
色は無色透明。開栓直後、不思議とキャラメルとか甘い珈琲のような香りと、それから果実的な甘い香りも感じました。このキャラメルや珈琲の感じが、ニューメイクなのかもしれません。
飲むと純度が高いと言うのは、何となく感覚で伝わって来ます。口に含んだ瞬間は辛口でアルコールがややきつく感じますが、その後は純粋で非常に滑らかさを感じられます。氷河の溶けた水が、ブレコン・ビーコン山脈の岩々を通過してやって来たものを仕込みとして使っているそうです。山の雪解け水が大地に浸透し、川を流れ、人里まで下りて来る道程に思いを馳せると、自然の恵みに感謝したくなります。この時期、近所に咲いていた紫陽花等の画像を添付しました。酒の肴にどうぞ。
個人的見解ですが、ウォッカは添加物も熟成も無い只のスピリッツだから、殆どがあんまり美味しくなく、他の銘柄との個性の違いが分かり辛かったりするけれど。これは当たりだ！流石ペンダーリン。
確かに果実的な芳香を感じ、穀物由来と思われる風味・香ばしさを楽しめます。海外サイトの情報だとスピリッツは小麦100%で、ペンダーリンのポットスチルから取られる少量の大麦ニューメイクを混ぜているとか。それも頷けるほど穀物の香りが芳醇です。ちょっと日本酒にも通じるような穀物由来の豊かな甘みがあり、果実的な芳香も同居しています。私には桃の様に感じられました。甘いといっても基本的なところでは辛口で苦みもあるので、甘ったるい感じがせず、きりっとして締まりが良い印象です。チョコレートような風味もあるのに気付き、少し発酵臭や酸味もあるかと思います。色んな表情を見せて楽しませてくれました。非常に均衡が取れ、素晴らしい出来だと思います。
最後に
滅多に美味いウォッカに出会えないが、これは実に複雑な味わいで別格に美味い！流通量は多くないですが、値段が手頃で常飲用として置いておきたいと確信出来る品質です。カクテル用として使っても良いですが是非、ストレートで楽しんでもらいたい。ペンダーリンはウィスキー、ウォッカの他にラムやジンも販売しており、実に精力的な蒸留所です。ペンダーリンはもっと注目されるべきだと思います。
これを飲んでいる間に7月に入りましたが、とても酒の揮発が早いのを感じます。夜に音楽を聴きながら飲んでいたところ、いつの間にか寝てしまいました。目が覚めてから残った酒を飲むと殆ど水になっていた・・・気温が高いと揮発が早い一方で、揮発量が多いと香りが強くなる利点もあります。飲み口が狭くなっているグラスを使った場合、揮発したアルコールが集まるので、香りが強くなったりします。季節や飲む酒の種類に応じて、グラスを使い分けるのも醍醐味です。実に美味しいウォッカでした。ご馳走様。間を置かずにまた購入したいと思いました。
記事公開 2024年8月27日
最終更新 2024年9月3日
