郵政民営化の嘘
小泉と竹中は日本国民を騙し、アメリカに日本郵便を売り渡そうとしていました。その手口は典型的なもので、単純な宣伝工作でした。昼夜を問わずテレビ(NHKと民放の両方)とラジオを利用して「郵政民営化で経済活動が活発になり、国民生活が良くなる」と吹聴して回ったのです。国民は何を騙されたのか?隠蔽された事実は以下の通りです。
①「郵政民営化で資金を民間に回せば経済が活性化する」は大嘘。当時から民間銀行には資金が有り余っており、郵政民営化はかえって金融攪乱要因となる。郵政公社は国債を購入することで、それが地方経済へと還流され、地域の発展に繋がっていた。
②民営化はアメリカの強い要望であった事実を隠し続けた。
③民営化で公務員26万人を削減できるというのは大嘘。郵便局時代の収益はトヨタ自動車を上回っており、事業は堅調であった。自己の事業収益で職員の給与を賄っており、政府から財政援助も受けていないし、税金は1円も払われていない。しかも国鉄が民営化する際、赤字補填の為に2兆円を上納している。
④「民営化すれば今までよりサービスが良くなる、料金も安くなる」と言っていたが、実際はその逆でサービスは低下し手数料も上がっている。
⑤海外の主要国で郵政民営化が失敗している事、アメリカでも郵便を民営化しようとしたが無理であると判断して国営を継続している事を、政府と報道機関は隠していた。
⑥分社化しても効率は良くならず、むしろサービスは低下した。郵便・貯金・保険事業を一体化して運営してきた日本の郵政公社が世界で最も使い易かった。
このように列挙した事実を隠し、代わりに政府の嘘で固めた説明を、報道各社はさも事実であるように国民へと伝えていたのです。
①に補足を入れると、これまで郵便貯金を原資に国債購入に充てていましたが、これが民営化で外国債と株式の購入に充てられるようになります。当然、「アメリカの」です。結果として地方への投資が減り、減少した国債購入を民間の金融機関が肩代わりし、中小企業への融資が減ります。これが地方衰退の原因の一つです。
⑤について。アメリカでは一般人が軍人に対して敬意を込めてThank you for your service.と挨拶する事があります。serviceとは国に仕えることを指すと思いますが、アメリカでは郵便局をPostal Serviceと呼称しますが、これは郵便局が軍隊と同じぐらい重要だと言う認識があるからでしょう。また、ドイツではドイツポストが赤字転落して、社長が脱税容疑で逮捕されるなどの問題がありました。
さらに追記すると、ゆうちょ銀行の経営方針は銀行法に違反しています。銀行法の第1章、総則の目的第1条では
「この法律は、銀行業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るために、銀行業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする」
と明記されています。外国債と株式は元本保証が無く、投資先が海外なら国内の金融の円滑機能も無ければ、国民経済の健全な発展にも寄与しない事は自明です。
民営化に反対した議員たち
衆参両院では多くの自民党議員が郵政民営化法案に反対しました。その理由は、郵政公社が民営化されれば国債の原資を奪われ、発行済み国債の書き換えが出来なくなり金利が一挙に高騰し、日本経済は窮地に陥ることは目に見えているからです。また、郵便局の地域社会の中心という立場が、儲かる都市中心となり、地方が見捨てられ地域社会が崩壊するという危惧があったからです。
法案は2005年7月4日の衆議院本会議では僅差で可決、8月7日の参議院本会議では否決となりました。前者では自民党議員の37名が反対、14名が欠席・棄権。後者では22名が反対、8名が欠席・棄権をしました。
小泉は法案が否決されたその日に衆議院を解散しました。郵政民営化の是非を国民に問いたいと言って、選挙で勝負する方針を打ち出しました。日本は議会制民主主義の国であり国民が選んだ議会(立法府)が法律の決定権を保有しています。憲法第四十一条は「国会は国権の最高機関であって、唯一の立法機関である」と明記しています。その国会が郵政民営化法案を否決したのなら、首相はそれに従うべしと言うのが憲法の文言です。行政府の長として立法府の議決には従うべきであるにも関わらず、これを無視して解散したのです。これは明確な憲法違反です。小泉の態度は子供の駄々以下であると言う事が露呈しました。
小泉が衆議院を解散した一週間後に、アメリカの大手広告会社(BBDO)の会長は首相官邸で小泉と会っています。また、アメリカの保険業界が政治資金を集め、共和党系の大手広告会社に日本での宣伝工作を依頼しています。その広告会社がさらに電通へ数千億円(或いは兆単位)もの宣伝工作を再委託して、日本人の頭を「民営化は善である」と切り替えるための洗脳広告を展開するように求めました。このように、アメリカによる日本の選挙への介入が確認されています。
衆議院の解散が決まった翌日のファイナンシャル・タイムス(イギリスの経済誌)は「日本はアメリカに3兆ドルをプレゼント」と題する記事を掲載していました。郵政民営化をすればアメリカに3兆ドルの金融資産が流れて、日本では使えなくなるという英国紙の論調があるのに、日本の報道機関でこのような事実を伝える会社はありませんでした。
刺客選挙
郵政民営化に反対して国民新党を立ち上げた亀井静香に対して、自民党は堀江貴文を対立候補として送りました。竹中と幹事長の武部勲らは堀江の応援をしていたにも関わらず、当の本人は無所属で出馬していました。
広島6区の選挙結果は亀井11万票、堀江8万5,000票と、堀江が驚くべき健闘を見せています。凡そ政治経済の知識や興味関心が無いであろう若い婦女子が、堀江に黄色い声援を送っていたと言う話なので、ここでも宣伝工作が功を奏していたのでしょう。この頃、郵政民営化の賛成を取り付けるため、日本人はA・B・Cと三つの層に分類されていました。中でもB層は「頭の悪い層」とされ、BはBAKA(馬鹿)のBとも言われています。このB層を構成するのは主に主婦、子供、老人達です。民営化の本質は分からないが、分からないまま適当に小泉を評価してくれる、ぼんやりとした印象だけで選んでくれる層を標的にしたものです。だからこそ、政治経済にちんぷんかんぷんな堀江でも票を稼げた訳です。
かんぽの宿売却未遂事件
2007年10月に(株)日本郵政が始動し、その翌年12月26日にかんぽの宿の70施設を一括109億円で売却すると発表しました。直ちに疑問を呈したのは麻生内閣の鳩山邦夫でした。土地・建設費に総額2,400億円かかった施設を低価格で売却する事や、入札の経緯に疑問を呈しました。かんぽの宿の売却について簡潔に纏めると、
①売却すべしと決めたのが竹中平蔵
②売却側の責任者は総裁の西川善文(日本郵政準備会社初代社長で元住友銀行頭取)
③買収する側の責任者が宮内義彦(オリックス会長)
かんぽの宿の不動産価格を鑑定した人物の述懐では、「日本郵政公社側から大幅に減額するように求められた」とあります。中には鑑定士が積算した価格から95%も減額される物件もあったそうです。これは国、公社、民間の談合でしかないでしょう。国税で建設された宿を二束三文で売り払い、互いに利権を貪るために口裏合わせが行われたということです。民間の宿泊施設・観光などに悪影響を与えるので、公共の宿はなくてもいいと思いますが、それでも売却するなら正当な市場価格で取引されるべきでしょう。何故なら、国民の血税で建設されたのなら、それは国民の財産です。正当な価格で売却されないのなら、それは国民の財産に損害を与えている事と同義で、はっきり言って背任罪に相当します。
2009年5月に、野党の政治家12人が東京地方検察局に日本郵政の西川を「かんぽ宿の特別背任未遂罪」で刑事告発しましたが、検察は審査に応じず、後に嫌疑無しの一言で差し戻されました。このように検察も腐敗した国家権力に飼い慣らされており、国民の味方ではありません。検察も犯罪者の巣窟です。検察官の定年延長などご褒美が貰えているので、喜んで悪徳政治家の足の裏を舐めるのでしょう。
結果として刑事告発は上手くいきませんでしたが、こういう事をしてくれるのが野党の力です。野党を「野次を飛ばしているだけの集団」と罵る馬鹿どもが多数いますが、野次ではなく只の正論で、与党は批判されても仕方ない愚行ばかりをしているだけです。
2009年8月30日の衆議院選挙で政権交代が行われ、9月16日に民主党・社民党・国民新党の連立政権として鳩山由紀夫内閣が成立しました。三党の共通政策として郵政民営化の抜本的見直しが掲げられていました。直後の臨時国会で成立した最初の法案が「日本郵政会社の株式と不動産の売却停止法」でした。この時の郵政改革担当大臣は亀井静香です。亀井静香はパチンコ業界と関係があるそうなので、信用出来ませんが・・・民主党政権は八ッ場ダム建設を阻止に成功して、消費税増税するとか言い出さなかったのなら、少しは評価出来たのに残念です。
政権交代後、驚くべき事実が浮上しました。日本郵政の上場が決まっていないのに、内々に上場の際の幹事証券会社が決まっており、それがアメリカの特定の証券会社であったことが判明しました。日本郵政会社の株式は2010年から市場で売却されることになっており、アメリカ系ファンドや投資家が一挙に株式を買い取って、かんぽ生命とゆうちょ銀行を買収する計画であったと見られています。
最後に
今回は興味を持ってもらえるように纏められた自信はありませんが・・・絶対に知っておいて貰いたいのは、
①郵政民営化はアメリカの要望であり、アメリカの傀儡政権である自民党がそれに応えた。
②郵政民営化で地方衰退や格差を招き、経営悪化やサービスの低下を招き、何一ついい事は無かった。
③2000年以降、新自由主義が日本で顕在化して来るが、それは自民党政権下の政策によるものである。そして、日本の本格的な凋落が始まった。
これだけは理解して貰いたいです。
ネット上では自民党は民意によって選出された政権だから、と言う声が聞こえますが、背後に大国の手引きがあり、豊富な資金で電通を利用して宣伝工作をしています。これが国民の総意で選ばれたとは言いたくありません。
アメリカは何かと気に食わない存在ですが、一枚岩というわけではありません。一部の人達は銃規制を唱え、世界を支配する巨大農業企業がある一方で、有機野菜を推奨する母親達の団体があったりします。新自由主義発祥の地であるアメリカに近い間柄である、カナダの経済学者ナオミ・クラインの著書ショックドクトリンが売れ行き好調など、一部には良心が残っているのだと感じます。最近、映画監督のマイケル・ムーアに興味を持ったので、ドキュメンタリー映画「世界侵略のススメ」と「シッコ」を観ましたが、とても素晴らしい内容でした。誰にでも分かる簡潔な内容で、とても大事な事を伝えています。彼については色物監督であると勝手に偏見を持っていたので、考えを改めさせられました。
これから先の時代は自然や文化を破壊し尽くす新自由主義から抜け出し、それらの復活と保存を進めていく必要があります。コスタリカでは国土の三分の一が国立公園や自然保護区で、それらを生かした観光産業が成功しています。一方日本は国立公園をゴルフ場に変えたり、大鷹の生息地である森を破壊して万博を開催していますね。欧州では都市景観を守るために色んな規制がありますが、日本は街に下品なパチンコ店や看板が立ち並んでいます。しかも、看板をよく見ると殆どカタカナ語ばかりで、ここは本当に日本なのかと疑いたくなります。
家屋も和風でも洋風でもない、何かよく分からない白くて四角い物が、砂利やコンクリートで固められて、雑草も木も生えていない無味乾燥とした土台の上に建っています。最近、このような家が増えてきたせいか(自然破壊もありますが)、ここ数年は燕が空を飛ぶ姿をめっきり見かけなくなりました。日本は経済だけでなく、文化や自然、精神的にも衰退や破壊が進行しているのだと実感しています。
一分の者達だけが得をするのではなく、国民全員が幸せになる。幸せを世界に伝播する。さらに、次の世代、そのまた次の世代にも良いものを沢山残してあげられるように努める。この当たり前の事を出来ない今の世代は、本当に恥ずかしい存在です。いい加減に目先の金、一時の利益からは視線を切って、共存・共栄や長期的な視点で経済・文化・自然が一体となった本当に豊かな暮らしを実現出来るように、悪の政権打倒とアメリカの言いなりから脱却する為に立ち上がりましょう。もう時間は殆ど残されていませんよ。