始めに
2024年11月某日、念願叶って上高地の泊まり旅行へ行ってきました。同年4月にも上高地(別記事参照)を訪れましたが、残念ながら宿を取れずに日帰りとなりました。出来れば一泊二日で、晴天を狙って星空の撮影をする!と言うのが夢でした。星空の撮影は、晴天であるのは勿論の事、新月の夜が理想です。一度、月齢の確認を怠って、同県阿智村での天体観測に失敗した過去があります。上高地の宿は競争率が高く、数か月先まで埋まっているのが現状です。私は6月ぐらいにはもう予定を立てて、職場で休みの調整も取り付けて、宿の予約まで済ませました。私はじゃらん(リクルート系)を利用しました。直前でなければ予約解除しても所謂キャンセル料を取られないようだし、決済は実際に泊まる時に済ませばよいので助かりました。利用していない段階で請求されるのが嫌な性質なので。
数か月先の予約となると当然、天候がどうなるかは運任せです。無駄な足掻きと思いつつも気象統計を調べて、日取りを選定しました。結局、無駄に終わりましたが。
今回も、当ブログならではの微に入り細を穿つ記録、忌憚の無い感想を交えて旅情を綴りたいと思います。ところで「微に入り細にわたる」とか「微に入り細に入り」と別の言い方もありますが、いい加減日本語の定義をしっかりしろと言いたいですね。「言葉は生き物」とか下らない言い訳で、正しい言葉の解釈から逃げる輩がたまにいますが、それなら時代や個人の都合でいくらでも言葉を捏造・増産出来てしまいます。それならば言葉の定義とか辞書や辞典は必要無いし、歴史や伝統を完全に否定していますよね。だから知性や品性が無い言葉がどんどん乱造される。私は絶対に「ガチ」とか「マジ」みたいな醜い言葉を使いません。言葉に多様性とか時代性とか見苦しい言い訳は要らないので、一度しっかりと日本語の体系を纏めて欲しいです。
沢渡ナショナルパークゲートから、上高地バスターミナルへ
今回は有給休暇を繋げて平日から乗り込みましたが、日本の平日・休日は外国人には全く関係なく。バスの停留所には、多くの外国人観光客がいました。バスの発車時間を待っている乗客の列は、中国人などアジア人が目立ちましたが、バスの中は白人も多く見かけました。多分、私以外に殆ど日本人の観光客がいなかったと思うので、異常な光景を見た気がします。若しかしたら、たまたま外国の団体客に遭遇した可能性もありますが。
バス停の人に話を聞くと、運賃は往復の方が200円安いとのこと。乗車券は7日間有効なので、往復で買うと良いでしょう。無くさないように注意。話を聞いたついでに券売機じゃなくて、窓口で直接販売してくれました。ここでは現金だけでなく、クレジットカード払いも出来たと思います。
人間、慣れと言うのは怖いもので。初めてバスに乗った時は車窓を流れる景色にわくわくしましたが、二度目で既にその感動が薄れてしまって。人熱れ(ひといきれ)の方が気になりました。外国人さんの体臭のせいかな・・・
荷物を預けていざ出陣、目指すは横尾
上高地バスターミナルに下り立つと、先ずはこの旅で一夜を過ごしたTHE PARKLODGE上高地(以下パークロッジ)へ向かいました。パークロッジのロビーは明るくて、ソファや電源の備えもあり、とても良い感じです。宿泊客はチェックインより前に荷物を預ける事が出来ますが、それが午前10時だったと思います。そのへんも計算に入れて出立しました。ノートパソコンやデジタルカメラ、着替え等荷物が多かったので、必要な物を整理にかかりました。天気予報では降水確率が高く、カメラとパソコンの保護が懸念されました。カメラはSIGMAのfpとPENTAXのKFを持ち込んでいましたが、買ったばかりのfpが壊れたら堪らないので、防滴性能があるKFを携行する事に決めました。fpは購入してから日が浅く、沢山写真を撮りたかったのですが止むを得ず。
雲行きを睨んで暫し逡巡しましたが、何となく午後まで天気が持ちそうだったので、念のため持参した雨合羽は置いていくことに。こういう時は直感が大事。
前回は河童橋を起点として、大正池から明神を端から端まで踏破しました。今回は大正池と正反対の末端である横尾を目指しました。観光案内によると河童橋から明神池まで50分、明神池から徳沢まで60分、徳沢から横尾まで70分かかります。片道およそ3時間、往復で6時間です。午後のチェックイン時間に丁度帰って来られるように、速度を調整しつつ歩きました。
往路 河童橋から明神まで
基本的に横尾まではやや緩い登りなので、行きの方が疲れます。砂利が多い道なので、思ったより歩き疲れます。上高地は所々舗装されていたり、砂利道が多くあります。何となくですが、砂利は自然の物ではなく人工的に撒かれている気がします。未舗装の地道の方が接地が柔らかいので、砂利が無い方が良いのでは?と思います。
この日はこの時期にしてはありえないほど暖かい。否、暑い日でした。本来であれば11月の日中の最高気温は10度以下、最低気温が氷点下になるそうで。私には、この日の気候は4月とそう変わらない感じがしました。曇天で結構風があったにも関わらず、歩いていると少し暑さを感じました。半袖でもいけると思いました。私の様に基礎体温が高い人は大変です。
上高地に入ると、麓のバス亭にいた観光客の数から予想していたよりも、ずっと多くの観光客がいました。アジア人が多い印象ですが、欧州や中東からも来ているようでした。やはり、日本人より外国人が多い感じです。
写真にある通り、午前はまだ少し青空が顔を出していました。完全に雨の予報もあったので、予想より天気が良くなったのは僥倖でした。河童橋周辺は売店が並び、分かり易い観光名所なので人で溢れ返っていました。
この日撮影した写真を後から見返すと、デジタルカメラ・携帯電話共に結構手振れが入っており、自分の腕の未熟さを感じました。
やはり上高地の見所は河童橋周辺と大正池の方らしく、横尾に行く人は極端に少ないようでした。すれ違う人が日本人、外国人問わず挨拶してくれるのが新鮮でした。外国の人が「こんにちは」と日本語で挨拶してくれるのが嬉しい。大正池方面では見られなかった光景ですが、人が少ない横尾方面ならではなのでしょう。きっと、お互い声を掛け合う事による励ましとか、人通りが少ないから気分を明るくしたり、声の掛け易さがあるのでしょう。街中では人々は挨拶しないけれど、散歩道では見知らぬ人にも挨拶をするあれです。
前回は明神橋を渡って復路につきましたが、今回は素通りして徳沢へ。履物に関して既に学習したので、今回はまともな靴を履いてきました。KEENのネクシス・エヴォです。薄手の靴下と合わせたら、履き心地良く、蒸れもしなかったので一日快適でした。
往路 明神から徳沢まで
途中から気付いた事があります。河童橋から明神周辺までは景色の変化がありますが、明神を通過した後は、殆ど景色の変化が見られないのです。進行方向に対して右手に山の斜面があって、左手には砂利で覆われた梓川、後は単調な砂利の山道が延々と続きます。
ずっと灰色の光景が続くので、見ていて楽しいものではありません。そこまで険しい道のりではありませんが、視覚的に面白みが無いので、この周辺は観光客があまりいないのでしょう。
徳沢周辺はキャンプ地になっていて、屋根の下ではなく、テントで一夜を過ごす人々が散見されました。徳沢ロッヂなど、宿泊施設もあります。天候が良ければ、満天の星空の下で夜を明かすのは乙な事でしょう。
徳沢ロッヂとキャンプ地を過ぎると徳沢園と言う宿があります。ここでも食事を摂れます。私は自然を相手にした旅行の場合、不思議と喉が渇かないしお腹も減りません。何かに真剣になっている時は、何故か食事やトイレの事を忘れてしまいます。それで一日持ってしまうので不思議です。
上高地は大自然の中なので、野生動物を一杯見られると思いきや。そうでもありません。この日肉眼で確認出来た生物は猿と川魚、それに鳥が一種類だけでした。この日の撮影で感じた事は、やはり鳥のような小さくて速い動体は、高速で自動撮影出来る機材が必要だと言う事。手持ちのカメラではとても追えないので、野鳥の撮影用に適したカメラとレンズが欲しい。
往路 徳沢から終点横尾まで
徳沢を越してからも、まだ長い道程が続きます。途中、観光客が捨てた塵を発見しました。死ねばいいのに、と思います。国立公園まで来て自然を汚し、人に迷惑をかけるなと。これを捨てた奴は、ペットボトルの蓋の価値も無いでしょう。再利用出来ない塵です。
上高地では所々、電線や舗装路、ソーラーパネル等の人工物が散見されます。また、徳沢を過ぎてからは何をしているのか知りませんが、重機や工事現場が目撃されました。本当に必要な事をしているのか不明ですが、非常に無粋だと思います。ここまで来て人工物など見たくないので。
海外の国立公園、例えばグランド・キャニオンは一部を除いて手摺が無かったりします。海外は基本的に自己責任の社会であり、都市や自然の景観を守る事を重視しています。日本と違って公道には歩道の段差が無かったり、ガードレールが無かったりします。
自然は手付かずのままにするのが正しい選択であり、人が自然に分け入るなら自力と自己責任で臨むべきでしょう。収益重視の観光のためや「過保護な安全配慮」によって、自然を自分勝手に改造する。人間と言う、単一種の都合しか考えない自然との付き合い方は邪道です。もっとも、私だって文明の利器の恩恵を享受しているので、色々考えないといけませんが。
上高地のもう一つの先端。横尾に到着です。長い道のりでしたが、ようやく着きました。観光案内の時間より、区間ごとに10分ぐらいは短縮したと思います。やり方は単純で、ひたすら休まずに歩く事。
ここまで来ても、特別な何かを見られる事無く。上高地を全制覇したい人、達成感を得たい人向けの道のりです。日帰りの人や、写真撮影をしたい人にはお勧めしません。
復路 横尾から明神まで
山道は所々、湧き水で地面がぬかるんでいます。行きは気付きませんでしたが、帰りの反対方向の視点で見ると、湧き水が小さい滝を作っている所がありました。帰り道も上がったり下がったりを繰り返しますが、下りの方が多いので行きより少し楽です。
上記画像中央に、猿達が綱渡りをしている光景が確認出来ます。人々の注目を集めていました。私は健脚ですが、子供の頃から何故か足首だけは弱くて、三時間歩いた後だとさすがに少し疲労感が出て来ました。
復路 明神から岳沢湿原まで
前回も訪れた岳沢湿原(だけさわしつげん)は外せない見所なので、復路は反対側を通って帰りました。ここから(観光案内によると右岸)もまだ、一時間ほどかかります。さすがに疲れたので、五分ほど止まって小休止。
気のせいか、前回来た時より沢の水量が減っているように見えました。暖か過ぎて降雪が減り、保水力が弱まっているのでしょうか?海外ではアラル海が消えようとしていますし、キリマンジャロの山の雪もどんどん無くなっています。
下記右側の写真に、魚が泳いでいるのが確認出来ます。この辺りに着いた頃には時刻は午後三時を回っていたと思います。
全体で10~15分ぐらいは休憩を取った(昼ご飯無し、水分補給のみ)と思いますが、通常六時間ほどかかる行程を、写真を撮りながら五時間弱で歩き切ったのでまずまずの行軍でした。
すっかり秋の色に染まる岳沢湿原。前回訪れた時とはかなり印象が違います。青空の下で見る湿原も良いですが、冬に備える木々や草のくすんだ色合いや、小雨でどこか哀愁を帯びる景色は、これはこれで良いものだと感じさせてくれました。
時々、山歩きに適さないであろうお洒落な格好をした人々を見かけますが、ゆったりと日帰り散歩する目的なら、それも悪くないかもしれません。この日も、幅広い年齢層の人達が観光に訪れていました。
確か湿原に入る手前ぐらいで、ぽつぽつと雨が降り始めたと思います。ここまでよく天気が持ってくれました。湿原の開けた場所から、そう遠くない所に河童橋があります。
枯草や紅葉など、秋の気配を漂わせる岳沢湿原。枯れた下草が広がる光景を目にすると、季節感が増します。日が陰ると、重々しく感じられる背後の山。そろそろ雨脚が強まって来そうな雰囲気で、一日がもうすぐ終わろうとしていました。
一休み
5時間以上殆ど飲まず食わずで歩いたため、早めに食事にありつきたかったのですが。何にしようか迷っている内に、店の営業が続々と終了してしまいました。知らなかったのですが、上高地の売店は15時半ぐらいから順次閉店するようです。早過ぎ!!それでも閉まる前になんとか「おやき」と生ビールは調達出来ました。おやきのお味は、まあ普通でした。
美味しかったのが生ビール。松本ペールエールを注文しましたが、苦みが少ないビールで、さっぱりした中にも旨みがあって飲み易い。中の売店でお土産用の瓶入りクラフトビールが販売されていますが、こちらの方が明らかに美味い。やはり搾り立ての生ビールは滑らかさが違いますね。昼食を逃してしまったものの、長時間歩いた後のビールは格別で癒されました。まるで水の様に自分の体に浸透していくのが分かります。
食事や買い物を済ませたい人は、早めに売店へ行きましょう。朝は8時から店開きしているそうです。売店では傘も売っているので、雨に降られても心配ありません。
ちなみにホテルで貰った5%割引券は、二軒隣りの店(ホテル白樺荘)では使えませんでした。前に来た時にも思いましたが、上高地の店員はやる気無いと言うか、皆つまらなそうに見えます。私は接客に愛想を求めたりしませんが、何か違和感を感じました。もっと楽しく働けば良いのに。想像していたより仕事が面白くなかったのかな?私は都市部が嫌いなので夢のような環境ですが。
THE PARKLODGE 上高地
上高地の宿は色々ありますが、空室状況や利便性を考えると、候補となるのはごく僅かでした。候補と言うより、消去法による強制選択に近いです。私のような一人旅をする人間には世知辛い世の中で、だいたいどこの宿も一人部屋は存在しません。二人部屋を一人で予約するしかありません。折半出来ないので、当然ながら割高になります。割高になるだけならまだしも、そもそも一人客の予約を受け付けていないところもあります。なので、一人客でも受け入れてくれる宿があればそこを選び、金額には目を瞑るしかありません。
パークロッジのチェックイン確認は、事前にメールアドレスへ送られたQRコードで行いました。アナログ人間の私には難儀だ。私は普段、仕事以外で一切携帯電話を触らないので(友人とLINEで連絡を取り合ったり、カメラは使う)少し手間取りました。確認が終わると、受付の人が丁寧に施設案内をしてくれました。こちらは全館禁煙で、たいへん結構だと思います。利用客の大半は日本人で、外国人客は日帰りの人達が多いようです。
昨今は現金でなく、携帯電話で支払いが流行っているそうですが。結局のところ、会計が完全無人の店は殆どありません。客が自分で会計する所でも、店員が立っています。レジ打ちだけ店員がやって、後の会計は客がやるとか中途半端なのも。使い方が分からず、客がもたもたしている事もあるので、はっきり言って無意味だと思います。これまでも北朝鮮やロシア、中国のハッカー集団が仮想通貨を盗んだり、身代金型ウィルスで攻撃を仕掛けたり、侵略行為を継続して行っています。ネットの脆弱性は分かり切った事だし、仮想通貨や電子通貨は銀行と違って、大した補償はしてくれないでしょう。補償限度額が設定されている事もあるようです。私は実体の無い金は一切信用しないので、支払いには現金かクレジットカードしか使いません。今後もその考えを改める心算はありません。携帯電話に依存した生き方もしません。デジタル信仰、何とかなりませんかね。
2024年の春に改装したばかりの「MUKU」と言う部屋に泊まりました。私は浴室付の二階部屋を予約しました。集団浴場が嫌いなので。個室にお風呂と雪隠があると安心します。無垢材を使っているとのことですが、時間の経過からか、木材の香りは既に消えていたと思います。部屋全体が温かみのある木材で出来ており、とても落ち着ける良い部屋でした。一つ残念なのが、せっかく奇麗な部屋なのに白い床に靴跡が付いていた事。今時、ホテルで土足厳禁は珍しいかもしれませんが、日本は家に上がる前に靴を脱ぐ文化です。入り口で外履きを脱いで、スリッパに履き替えで良いと思います。
水道水はそのまま飲めるので、部屋に置いてあった湯沸かし器を使い、ドリップ珈琲を淹れました。この湯沸かし器は一定時間で切れる上、一回では沸騰しません。私は三回加熱しました。
宿の説明によると環境保護の為、冷房は使えないそうです。4月でも相当暑かったので、冷房が使えないとなると夏場は堪えるのでは?私のような暑がりはしんどいでしょう。
部屋にドライヤーやタオル等、必要な物が一通り揃っていますが、何故か歯ブラシはロビーに置いてありました。環境保護の事を考えると、歯ブラシ等は客が持参してはどうかと思います。宿にある物は使い捨てが多いので。一人一人が地球の為に、やれる事を最大限努力しないといけない時に来ています。と言いつつも、私は持ってこなかったのだが。次に旅へ出る時は、意識してみようと思います。
照明は電球色で明る過ぎず・暗過ぎずで丁度良い塩梅。二つのベッドの間(窓のカウンター下)に、調光用の摘みがあります。これで壁照明の光の強さを全て調整出来るようになっており、好みの照度に変えられるのは細かい気遣いだと感じました。私は自分が落ち着く照度に弄らせてもらいました。
風呂場の照明と換気扇は人感センサーで自動で付きます。時間で自動に切れます。浴室の入り口に照明のスイッチありますが、それに気付かずシャワー使っていたら、途中で照明が切れて少しびっくり。備えられている洗髪料はどこ製か不明。私の髪質には合わないようでした。拘りがある人なら、洗髪料は持ち込みが良いでしょう。
下記は窓から見える景色。二階部屋にして本当に良かったと思います。窓を開ければ新鮮な森の空気を吸えて、川のせせらぎが耳に心地良く、贅沢な視界を得られます。この他にも、パークロッジは近くに河童橋や売店があり、上高地バスターミナルからも近いので、立地として最高だと思います。
部屋にはコンセントが沢山あるので、持ち込んだパソコンで旅の記録を取ったり、携帯電話の充電に使わせてもらいました。インターネットの接続には、宿の無料Wi-Fiを使う事が出来ます。長時間の散策の後だったので、夕食時までの空き時間をゆったり過ごしました。
夕食
食事が旅の一番の楽しみ、と言う人は多いと思います。私は普段食事にはあまり頓着しませんが、こちらの宿は「薪火料理」が売りなようで、宣伝を見て気になっていました。部屋の造りだけでなく食事も良さそうだったのが、こちらを選ぶ決め手になりました。珍しく食事に期待を寄せて、夕食時間が始まると嬉々として食堂へ向かいました。
他の利用客が大勢いるのと、無遠慮にカメラを向けるのは躊躇われるので、自分の席に運んだ料理を撮影しました。こちらの食堂の素敵な雰囲気を伝えきれませんが、参考までに。
バイキングは種類豊富。どれも見た目が綺麗で美味しそう見えて、実際どれも美味しかったです。食後の甘味も抜かり無く揃えていますが、そちらは料理と比べたら普通。
白米は勿論の事、汁物、生野菜と果物、肉料理・魚料理、和洋折衷。何でも揃っています。魚は火を通した物だけでなく、カルパッチョのような新鮮な魚を使った献立もあります。食べるのが大好きな健啖家なら大喜びでしょう。
私は部屋に置いてあった案内を事前に目を通し、酒類の飲み放題が付けられるのを確認していました。少しだけ悩みましたが、悩んだ時間は本当に少し。旅先でお酒を飲むのも楽しみの一つなので、食堂にいた係の人に話しかけ、お願いしました。部屋番号を伝えるだけです。
飲み放題は1時間2,500円で、一部を除いて左右の冷蔵庫から(写真が無くて残念)好きな酒を勝手に選んで飲む事が出来ます。酒の揃えはかなり良かったと思います。確かスーパードライのような普通の量販品もありますが、クラフトビールや長野産のワイン等も置いてあります。ちゃんと酒の種類に応じたグラスが完備してあるのは流石です。居酒屋の飲み放題と比べると時間がかなり短く感じますが、置いてあるお酒はそこそこ値段が高い物が含まれるので、お得だと思います。私はすぐにお腹が一杯になってしまったので、お酒はあまり飲めませんでしたが、気分の問題で元を取ったと思います。
バイキング形式なので、利用客は何度も食事を追加すると思います。食が細い人はご飯でお腹が一杯になるので、飲み放題をつけてもあまり飲めないだろうとは思います。斜向かいの客が親子?でかなり大量に酒を飲んでおり、酒豪が現れたらホテルは採算が合わないだろうと感じました。
薪火料理が専門とあって、確かに厨房のカウンター下に薪が積んでありました。こちらが一番得意なのは恐らく肉料理だと思いますが、肉料理はどれも美味しかったです。
・・・食事を終えて部屋に戻ると、明日の予定を確認しました。雨雲レーダーを見たところ、夜通し雨が降り続けるようで。明日の天気もかなり荒れ模様でした。雨雲レーダーはかなり正確なので、天候回復は望めませんでした。翌日は食事と休憩だけ済ませ、大人しく下山となる見通し。
人工的な生活音が一切排された大自然の中で、降りしきる雨と川の流れの音に耳を傾け、一夜を過ごしました。もし天気が良ければ、翌日はもう一度大正池方面へ行こうと思っていたので、残念でした。ただ、わざわざ上高地に悪天候を狙って来ることはないので、これはこれで貴重な体験かもしれません。
朝食
翌日。いつも通り、携帯電話に仕掛けた目覚ましより早く目覚めました。私は休日でもだらだらと惰眠を貪るのは好まないので(と言いつつよく寝過ごしますが)、いつも仕事がある日と同じ時間に起床するように努めています。外を見やると相変わらずの雨。予報通り、天候回復の兆しは無し。一泊二日などあっと言う間。今日帰らないといけない憂鬱を感じながら、余裕を持って支度をし、朝食の会場へ向かいました。
朝食もバイキング形式なのは変わらず。普段私はあまり沢山朝食を摂りませんが、目に飛び込んできた豪華な食事内容に目を輝かせ、思いっきり堪能する事にしました。
日本人らしく朝食の定番である白米にお味噌汁は当然の事、揚げ物あり、生野菜あり。和食・洋食豊富に取り揃え、食後の甘味と珈琲も。至れり尽くせり。
興味深いのがお茶漬けとお味噌汁。お茶漬けは法茶と薬味を混ぜて自分で作れたり、味噌汁は赤味噌・白味噌を自分好みの割合で掬って、出汁と混ぜて完成させます。非常に凝っていて一切の手抜き無し。食堂の従業員さんが、手の空いた時は客席を巡回して、空いた皿をさっと片付けたり、新しい取り皿を用意してくれたり。そこまでして貰っていいのかと、何やら恐縮でした。食事だけでもここに来た甲斐があったと思いました。
朝ご飯もたいへん美味でしたが、私は特に手作りウィンナーとフレンチトーストが美味しかったと思います。フレンチトーストは評判なようで、焼き立てを御代わりしている外国人客がいました。喜んだその人が、料理長のような雰囲気の人と会話(料理を褒めている)しているのが微笑ましかったです。利用客は皆、料理の味と豊富な種類に顔を綻ばせており、良い空気が流れていました。下記の写真は鉄火バナナと言う、真っ黒に焼かれた物が映っています。新しく料理が出来上がると配膳台に運ぶだけでなく「〇〇できました」みたいな声かけがあり、カウンターにある鐘を威勢よく鳴らして知らせてくれます。そのような演出と言うか、細かい気遣いがとても良いですね。
普通バイキングと言うと、料理は基本的に作り置きで一通り出揃っており、目に見えている物が全てだと思います。ここが凄いのは、次々に新しい料理が追加で出て来るところ。一体どれだけの献立を用意しているの?と不思議に思える程、次から次へと新しい料理が厨房から出て来ます。恐らく最終的には一巡しているのだと思いますが、それにしても凄い豊富な食事内容でした。
私は普段の生活だと、朝は白米を茶碗の八分目ぐらいとお味噌汁を食べるだけですが、こちらではお腹一杯にいただきました。私は甘い物を制限していますが、ここでは解禁。食後に甘味と珈琲まで楽しみ、素敵な朝の食卓となりました。
別れ
チェックアウトを済ませた後、少しロビーを使わせてもらいました。来年開催予定の、海外バンドのライブの券を取る為、予約開始前にパソコンを準備。無事、鑑賞券を得る事が出来ました。どのバンドのライブかは、この先の記事で伝えたいと思います。何年先、何十年先になるか分かりませんが、また上高地で一泊する機会があれば、パークロッジを指名させて貰いたいと思います。宿の人には迷彩装備の変人と映ったかもしれませんが・・・
上高地バスターミナルへ向かう頃、雨の勢いは衰える気配無く、むしろいよいよ荒れてきました。幸いにも着ていたジャケットがある程度止水性能があるみたいで、新品の雨合羽は結局使わず仕舞いでした。自分の体よりも、持ち込んだパソコンやカメラが入った鞄の保護を優先しました。ビニール袋を何枚か持参して来て正解でした。宿を出る前に、壊れそうな貴重品をしっかり包んで出立しました。ナショナルパークゲートに戻った頃には、季節外れのどしゃ降りの雨。やはり自然には勝てませんね。
どんなに悪天候でも、旅の記憶は人生に刻まれた貴重な一瞬。大雨に降られても嫌な気分にはならなかったし、むしろ楽しかったと思います。人生楽しんだもの勝ち。今生の別れではありませんが、やはり去る時は少し寂しさを感じ。いつもの日常に戻る現実感に引き戻されます。でもきっと、惜しむ程の別れがあるからこそ、出会いが価値のあるものになるのだと思います。
総評
今回宿泊したパークロッジはかなり満足だったと思います。次に泊まる機会があれば、またこちらにお願いしたいところです。接客、部屋、料理。どれを取っても素晴らしく。客に最高の持て成しを提供したいと言う思い、玄人の誇りを感じました。大袈裟かもしれませんが、私は世辞を絶対に言わない人間なので、嘘偽りない本音です。決して安い買い物ではありませんが、宿が提供するお部屋や食事の内容を考えると、値段以上に満足出来る中身だったと思います。
金額を表示するのは無粋なので伏せておきますが、パークロッジの宿泊代は庶民感覚では高価だと思います(上高地にはもっと高い宿が他にもありますが)。しかしこれは、所謂インバウンド需要と、税金と物価上昇に日本人の所得が追い付いていないのが原因です。つまり、自由民主党が悪い。それを証拠に、日本には外国人が大挙して押し寄せている。中国人や他のアジア人も多く、もはや日本が後進国である事を痛感させられます。外国人にしてみれば、上高地の滞在費用とその中身を吟味すれば、きっと安いとかお値打ちと言う感覚になると思います。早く政権交代して、日本人の利用客が増えると良いと思います。
ところで、旅行業界は完全に売り手市場で、金持ちの外国人がいくらでも来日するから値段を吊り上げても、どこも予約が一杯で売り切れてしまうのだと思います。提供される内容が同じでも、季節や世の中の経済事情で値段が上げられるなら、これは公正さに欠けるし、消費者として納得出来ないと思うのは私だけでしょうか?我ながら狭量かもしれませんが。上手く言えませんが、例えば食品や他の業界と比べて、旅行業界だけが極端に値上がっている印象があります。
私はこれまでに、日帰りと一泊で二回上高地を訪れました。私の結論は、上高地の旅行は日帰りで充分だと言う事。泊まりも素敵ですが、日帰りでも充分満喫出来ると言う意味です。無理に泊まりにせずとも、大正池から明神間の景色と、岳沢湿原だけ見れば満足出来ると思うので。その回り方なら午前中にここへ来れば、一日で充分堪能出来ます。遠方から来る人であれば、上高地を下山してから他所で宿泊する手もあります。また、私の様に撮影機材等嵩張る荷物がある場合、自家用車で入山出来ない上高地は、持ち込める荷物の量が制限されてしまいます。
私はここで天体観測と撮影するのが夢だったので、星空が拝めなくてとても残念でした。しかし、奇麗な星空が見られるのはここだけじゃない。天候の操作は出来ないし、何か月も前から宿の予約を取らないといけないので、天体観測や撮影をしたいなら、機を窺って他所にした方が良いかと思いました。長野県なら阿智村で星がよく見られるし、行った事はありませんが、諏訪市方面でも観測出来るかもしれません。
最後に
2024年は春の雪解け後と晩秋、違う季節で上高地を楽しみました。ずっとここに来るのが夢だったので、昨年は本当に良い年だったと思います。日本全国、訪れたい所はまだまだ山のようにあるので、多分暫くは上高地の再訪は無いと思います。次は新天地へ。目指すは全都道府県制覇。関東甲信越や近畿の方へも足を運びたいのですが、まだ長野は見所があるので、今度は諏訪市方面へ行くかもしれません。今年も旅行へ行けるように、普段は節約してお小遣いを溜めたいと思います。
記事公開 2025年1月8日