酒と人生、バー通い 其の九

  • 2024-09-21
  • 2024-10-07
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移動にバス!!

2024年9月某日、仕事に忙殺されている中、息抜きの為に外へ飲みに行きました。普段は節約の為、街まで三十分の道のりを徒歩で行きますが、今年の異常なまでの暑さにすっかり参ってしまって、初めて公共の交通機関を利用しました。

下の画像は遡って今年の6月にC店で飲んだ時のもの。マルガリータとラムネイション・バルバドス8年。この時は既に、仕事関係の飲み会でかなり酒が入った後だったので、気分が悪くなってすぐに退散。毎回同じ事やっている気がしますが・・・私の舌が不味かったのか、ラムネイションは妙に薬品臭く感じました。やっぱり体調が万全な時に美味しく飲みたいものです。仕事仲間とその内バーで一緒に飲もうと言う話をしており、今から楽しみです。この日は前回充分楽しめなかったC店と、馴染みのB店を回る計画でした。

私が住んでいる地域で2021年に11月まで蝉が鳴いていた事がありますが、今年は暑さにやられて死に絶えてしまったのか、8月9月になってからは殆ど鳴かず、しんと静まり返っています。6月に自宅で大量発生した蜚蠊(ごきぶり)はそれ以降、全く出現しなくなりました。とても不気味に感じます。

出かける前にまるで雀の如く、目白の集団が庭に飛来しました。小さい体なのに群れともなると迫力を感じ、何だか得した気分になりました。人間のせいで自然が年々破壊されていますが、強く逞しく生きている姿を見ると希望を感じるやら、申し訳ないやら。

B店

いつも通りラーメン屋で夕食を済まし、先ずは馴染みのB店へ。もはや定番となった、最初の一杯は旬のカクテル。この時期は梨を使った旬の物があったりしますが、暑気を払うべく大好きなモヒートを注文しました。ミントの香りが実に心地良い!

次に注文したのは瓶詰め業者であるケイデンヘッドのラム。よく目にする名前ですが、今回が初です。バルバドスの13年熟成のラムで、グリーンラベルとありますが、どう見ても白色です。ラベルに色褪せがあり、これは現行品ではなく廃盤品だと思います。熟成感は余り無かった気がしますが、香りがとても良かったです。80年代原酒を使った上等なスコッチのような、一度嗅いだら忘れられないあの香りを思い起こさせました。華やかで良いと思います。

B店主は博識で酒の知識は当然の事、時事一般、政治経済、歴史、俗世等色んな知識があるので、会話していてとても楽しい人です。多分、何を聞いても答えが返って来ると思います。B店主の話について行けたり、共通の話題に事欠かないので、自分もここ数年の勉強で頭が鍛えられたと思います。この夜は内部留保の話だとか、日本人の祖先はユダヤ人説等色々雑談しました。ユダヤ人説の真偽は兎も角、夢のある面白い話だと思います。八幡神(はちまん、やはた、やわたとも)はヤハウェ(YHWH若しくはYHVH)と読みが似ているとかそんな話です。聖四文字は漫画ブリーチのユーハバッハとか、傑作テレビゲーム真・女神転生Ⅱのボスでもお馴染みですね。

3杯目、4杯目は葡萄系ブランデーを。ダニエル・ブージュのコニャックVSOPと、ポーリのグラッパ。グラッパはラベルの色褪せがありますが古い物ではなく、現在でも流通している3年物のルーチェだと思います。ダニエル・ブージュは色がとても濃く、琥珀色ではなく黒っぽい正に葡萄色。B店主は葉巻と良く合うと言っていました。私は煙草嫌いですが、何となく分かる気がします。色にも表れている通り、とても豊かな葡萄の風味が伝わって来ました。通常、樽熟成すると素材の味わいは薄れて行くと思いますが、これはしっかり葡萄の風味を残していました。不思議です。味わいは濃厚ですが甘さはとても控え目で、落ち着いた渋みがあり、確かに煙草呑みが喜びそうな感じがします。

対照的にグラッパの方は明るい液体色、疲れを癒してくれるような濃厚な甘さがありました。3年熟成の若さと、皮や房まで使うグラッパの特徴から、樽感を押し出すのではなく、果汁だとか素材本来の味が生きているのかな?と思いました。どちらも美味しかったと思います。

この日は静かな夜で、私以外に殆ど客はおらず。客が少ないと、酒を味わうのと会話するので忙しく、ある程度席が埋まっている方がこちらは楽です。夜が更けるにつれて話も進み、色々面白い話が聞けました。アイラモルトと言えばピート(泥炭)が有名ですが、アイラモルトに使われているピートは100%アイラ島の物ではないそうです。環境保全の為にピートの輸入をしているらしく、不足分をそれで補っているとか。自然物も無限にはないので、当然だと思います。カナダだと自宅の庭の木を切るにも許可が必要だったり、何処の国か失念しましたが、伐採を行った後植林を義務付けている所もあった筈です。環境保全において、日本は海外より遅れていると思います。

他に聞いた話はドランブイが世界的に品薄で、シャルトリューズも同様みたいです。需要に対して生産が追い付いていないそうです。確かに、ネット通販でシャルトリューズを見かけなくなりました。発展途上国の経済成長等で、これまで酒を飲む習慣(或いは金銭的余裕?)が無かった地域において需要が増したり、原因はそんなところだとは思いますが。アジアの国々でも、中産階級は日本と生活水準が変わらなかったり、街も奇麗だったり。日本だけが衰退しています・・・

最後はシングルモルトとブレンドウィスキーで。日本に入ってきたばかりのアードナッホー5年ロイヤルサルート21年(80年代原酒)。アードナッホーは最初の航空便で輸入された600本の一つです。アイラ島で9番目の蒸留所です。正統派と言って良いのか、ピートを利かせたスコッチで、5年の若さとしてはまずまずの旨味がありました。革とか煙草の香りを感じられる、渋い酒でした。創業当初は沢山人を集めていましたが、生産が落ち着いてきた現在は人員削減を行っているようです。

ロイヤルサルートは思い入れがある酒です。私がまだ非正規雇用で働いていた20代前半(2000年代初頭)、最初に購入した高級酒です。これまで二回購入して飲んだ事がありますが、二回目に飲んだ時は明らかに品質が低下していました。当たり前の話ですが、原酒不足でシングルモルトの品質が低下すれば、必然的にブレンドウィスキーも同じ道を辿ります。この夜飲んだロイヤルサルートは80年代の原酒を使っているのが如実に分かる、実に香り高い酒でした。美味さは程ほどでしたが、この年代特有の華やかさはとても好ましいと思います。

二軒目でもじっくり酒を愉しむべく、あまり酔いが回らない内に自制し、B店を去りました。B店は近隣のバーと比較して、珍しい酒を常時潤沢に取り揃えているので驚きです。B店主からは学ぶところが沢山ありますが、一つだけ見解の相違があります。B店主はジンにはあまり投資をしない人ですが、本当に美味しいジンがある事も知って欲しいと思います。確かに琥珀色の誘惑には私も勝てませんが、樽熟成をしない生成の酒にも、本物が存在します。そのあたり商売でやっている人達と違って、素人の方が柔軟に物事を考えられるのかもしれません。商売である以上、客に飲ませないと経営が成り立ちませんしね。ジンやウォッカをストレートで愉しむ人はあまりいないので。バーの経営者は驚くほど個人では酒を殆ど飲まなかったり、酒に弱かったりとかなり意外な一面を見せてくれます。商売に忠実なのは頭が下がりますが。きっと私のような人達は「最強の素人」なのでしょう。

C店

いつもC店を訪れる時は間が悪く、既に悪酔いした状態である事が多いのですが(やめればいいのに)、この日は出来得る限りの万全な体調で臨みました。先ずはマティーニを注文。B店の記録をせっせと紙片に書いている内に出来上がったので、作るところを見れませんでした。

使用した材料が分かりませんが、かなり甘い仕上がりでした。B店主はドライ・マティーニの方が好みだそうですが、私もそれに同意します。ドライで注文した筈ですが、在庫の酒だと甘口しか作れなかったのかもしれません。これについては、それぞれの店で拘りとか色々あるでしょうから、特に文句はありません。マティーニは簡単に作れるカクテルなので(美味しく作れるかは別として)、自分でも色々研究したいと思います。

次に注文したのはオールドモルトカスク(ハンターレイン)のインチガワー15年と、ザ・モルトマン(メドウサイド・ブレンディング)のブナハーブン8年です。どちらも瓶詰め業者の商品で、よく聞く名前です。両方ともハーフだったと思います。この辺りから結構酔いが回ってきたので、記憶がだんだん怪しくなります。インチガワーは初めて飲む銘柄ですが、新鮮で爽やかな青林檎、豊かな甘さ、年数相応の旨味があり良かったと思います。ブナハーブンはストイーシャとは違うと思いますが・・・54.9%の度数を感じさせない滑らかさ、程良いピート香。悪くなかったと思います。

最後に飲んだのがラベルの「8」が目を引くテキーラ、オチョのレポサドです。お店の照明下だとブランコに見えましたが、レポサドでした。これは個人的に買うにはかなり高い(500mlで実売5,000円以上)テキーラなので、こちらで試飲出来たのは僥倖でした。これもハーフだったと思います。テキーラの熟成に使用した古樽を使う事で、樽感があまり出ないようにしているそうです。テキーラを始め、中南米系の蒸留酒は近年かなり値上がりが進んでいるように見えますが、物価上昇以外に消費量が少ないのが原因かと思います。お酒に限らず、高い商品が必ず高品質を保証している訳ではなく。テキーラも当たり外れが大きいと思いますが、こちらは美味しかったと思います。テキーラは物によってはアネホまで行くと、樽熟成の関係からテキーラ本来の個性が薄れる事がままありますが、レポサドは良い塩梅に仕上がっている事が多いと思います。こちらはテキーラの個性を残しつつ、程良い熟成感のある美味しいお酒でした。

C店主はかなりお値打ちにお酒を提供していただいているようですが、今回飲んだお酒は普通に買うとかなり高い物ばかりです。殆どハーフですが、それでも実際に払った金額は言葉通り良心的価格でした。閑散としている時に2~3時間で客が一人しかいないような場合、客単価が1~2万円だったとしたら、商売上がったりです。税金や物価上昇で各企業が値上げに次ぐ値上げをしている中、この業界は価格据え置きをしているように見えます。何か自分にも貢献出来る事はないか。模索したいと思います。

最後に

飲みながら店主と話していると、記録をなかなか取れず。酩酊感や時間経過等で記憶が風化し、何とか総動員していつも記事を書いています。酒の味わいより雑学的な事の方が頭に残っている気がしますが・・・バーに行くといつも心が落ち着きます。ごく稀に場にそぐわない酔客がいますが、多くの場合は本当に酒好きな好事家や、社交性や品性のある人達が多く訪れます。最近は気候変動や戦争で世界が乱れていますが、平和な気分でお酒を飲める世界が継続出来る事を願います。

記事公開 2024年9月23日

最終更新 2024年10月7日

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