初めに
この記事では私が読んだ書籍についての評価と、大まかな内容の説明をしていきたいと思います。第一号記事として、私は迷わずこの一冊を選びました。2002年10月25日に殺害された元民主党議員、石井絋基氏が書いた日本が自滅する日です。日本は本来、税金は余るほどあるのですが、悪徳政治家達の天下り先である特殊法人に、正に湯水の如く大量の税金が特別会計として注ぎこまれています。2023年現在、一般会計の総額110兆円に対して、特別会計の歳出総額はなんと400兆円を超えています。特別会計は全て無駄金です。どれだけの無駄金であるかは是非、本書を読んで確認して下さい。
110兆円でもなんとか国家が存続し続けられているのであれば、大幅な減税をしても問題無いことになります。一度に税金や社会保障負担を上げると強い抵抗感があるので、「社会保障の為」と嘘を吐いてじわじわと小出しで上げていくのが自民党のやり方です。消費税を増額した分は「100%」社会保障に使うと約束したのに実際は全くの嘘八百、平然と公約を破ったのが安倍晋三です。消費税増税は法人税減税の穴埋めに使われているだけです。大企業や金持ち優遇の税制、国民の血税を必要なところに配らず癒着企業に垂れ流しなど、国民を苦しめることに関しては世界一の国、それが日本です。子供の7人に1人が貧困、10代から30代の日本人の死因の第1位が「自殺」です。御用学者やテレビ・新聞・雑誌(一部除く)、広告や電通の洗脳から解かれる為にも、読書をして頭を良くしましょう。
本の内容について
本書は既に絶版となっているので、中古品しか出回っていません。しかも、石井氏の中古本は高額で取引されている事が多いので、どうしても拘りのある人以外はamazonのオンデマンド版を買いましょう。物が本当に欲しい人の手に渡らず、不当に価格を吊り上げるだけの転売業者は唾棄すべき存在ですね。本当に転売規制をして欲しいです。少なくとも、定価より高い価格で売っては駄目でしょ・・・
さて、このオンデマンド版(ペーパーバッグ)ですが、2023年1月7日現在の価格は2,420円となっています。内容が素晴らしいのでこの価格は適正ですが、いかんせん本の品質が粗悪です。まず表紙にカバーがかけられておらず、しかも紙質が悪いのか印刷技術が低いのか分かりませんが、文字が滲んだようになっています(下に画像を添付しました)。読み辛いということはないのですが、値段に見合った品質で提供しろと言いたいです。値段を下げなくてもいいので、もう少し丁寧に物を作って欲しい。
本の中身ですが、題名の通り如何に税金が溝に捨てられているかについて、多くの頁を割いています。知れば知るほど無駄に税金が使われている事実に憤りが湧き、増税などしなくても社会保障や福祉などに税金が充てられる事が理解出来ます。石井氏の自論(と言うか当たり前の事)で気に入ったのが「官は行政事務に徹し、富を生み出すのは民に任せれば良い」というような言葉です。全くその通りで、景気対策は公共事業の大量発注や補助金などをばら撒く事などと主張する輩の頭がどれ程悪いかよく分かります。国債発行や通貨発行に頼らず、無駄な公共事業の廃止と特殊法人を徹底的に潰して税金の無駄を無くし(必然的に減税・公共料金の低下に繋がる)、税金はあるところから取って無いところからは取らない。たったこれだけの、当たり前で簡単な事をするのみで国は良くなります。
真の愛国者は日本の自然と文化を大事にする人が多く、石井氏もその一人でした。公共事業の乱発を止めて、その代わりに公共事業で破壊された自然を修復する事業を展開すべきだと論じています。必然的に公共事業が無くなることで生まれる失業を相殺出来ます。ナオミ・クライン著の「地球が燃えている」でも、グリーンニューディールによる脱炭素経済は、化石燃料に依存した経済よりも多くの雇用を生み出すと解説しています。気候変動対策を宗教と罵る大馬鹿者が多いですが、実際には人類が救われるにはこれしかありません。日本でも「仕分け」だとか「コンクリートから人へ」のような言葉が飛び交っていましたが、結局言うだけで終わっています。
最後の章では、日本の経済を正常化する為の「二十五のプログラム」を載せています。隙の無い論理が展開されており、特殊法人が無くなることで生まれる失業者の救済策などもしっかりと解説しています。特殊法人以外にも農政の在り方や、地方分権にも鋭く斬り込んでいます。石井氏の論を理路整然と突き崩せる人はまずいないでしょう。彼の政治経済に対する考え方は新自由主義でも、MMT論でも、共産主義ともまた違う非常に均衡が取れたもので、賛同出来る事の方が多いと思います。
最後に
日本の財政を詳しく知りたい人、正しい財政感を身に着けたい人、日本にも優れた政治家がいたのだと知りたい人にお勧めです。そこまで難しい内容ではないので、社会人なら特に苦も無く読み進められると思います。昨今に多い軽薄な言葉遣いではなく、かと言って重く固い文体でもないので読み易いです。重複する部分が少ない印象で、よく編集されています。
れいわ新撰組の山本太郎氏は、特別会計は大きな問題であると認識していますが、はっきりと「命が惜しいし、殺されるので突っつかない」と述べています。彼は上辺だけの人気取りをせず実直なので、外交は心配なものの経済対策などはある程度評価しています。原発の件で職を失った山本氏も忌避する、特殊法人の闇に挑んだ石井絋基氏に対して、最大の敬意を表したいと思います。私はこの本を「日本人必読の書」と認定します。是非、全ての国民に読んで欲しい傑作書です。
記事公開 2023年1月7日
最終更新 2024年9月15日