初めに
今回紹介するのは日本の一流ブランドkiryuyrikとイタリアのスニーカーブランドRUN OFの共同企画で作られたスニーカーです。
kiryuyrik（以下kiryu）は20年以上続いている日本のブランドで、最初は女性服のブランドとして始まりました。現在は男性服しか作っていませんが、女性でも購入する人は多くいます。ヨウジヤマモト出身のデザイナー兼パターンナーが、誇りを持って制作しています。薔薇や蝶を使ったデザインは好き好きだと思いますが、私はデザイナーの高柳成克氏が引くパターンは世界最高峰と思っています。当然、立体裁断です。人間の体の線を意識した、本当に美しいパターンを引いています。ここのパターンを知ってしまったら、はっきり言って他のブランドの服は殆ど着れなくなると思います。
kiryuは元々ブーツしか作っていませんでしたが、RUN OFの輸入販売をしている縁故があり、スニーカーの品質が良いのでkiryuの名を入れての販売が決まったそうです。残念ながら日本にはスニーカーの工場がほとんど存在していません。スニーカーは中華製が多いですよね。職人がいる日本の工場で生産することに拘っているブランドなので、長らくkiryuのブランド名でのスニーカー販売は出来ませんでした。そのkiryuが認めたスニーカーブランドです。RUN OFはPITTI UOMOという、イタリアで開催されているブランドの見本市で注目を集めたそうです。100%イタリア製、イタリア人魂を込めて製作されています。
外観・使用感
気になるお値段ですが63,800円です。私は服が好きでしょうがない人間なので、この金額でも「ちょっと高いかな」としか思いません。感覚が麻痺しているのは自覚しています。
さて、外観ですが黒で統一されており精悍な印象です。所謂カジュアルな服装だけでなく、ジャケットなどある程度綺麗な格好でも使用に耐えるかと思います。爪先周辺に牛革を贅沢に使用しています。定番品の靴紐は平型ですが、これには丸いのがついてきます。大きさですが、私が購入したサイズは40（25.5～26cm）です。足が小さく25cm以下の靴でも入る私ですが、少し窮屈に感じます。不快ではありませんが、かなりぴったりとしています。ちなみに靴の前後の重量比が１：１になっているそうです。
上の画像を見ると、靴底が下駄を履いたようになっています。先端は肉が薄くなって浮いているのが確認出来ます。爪先が浮いているので歩き出すと先端が沈み込み、自然と前へ歩き出す力になっているそうです。とは言っても、実感としては微々たるものです。手で持った時の重量はスニーカーとは思えないほどずっしりきます。それだけしっかり作られている証拠だと思います。しかし実際に履いてみると、重さを感じることなく軽快に歩くことが出来るので驚かされます。
それから、独特な靴底が接地時の衝撃を良く吸収しています。上記右側の画像を見ると分かりますが、釣りに使う長靴に付いている鋲のようなものが生えています。この緩衝機能は本当に良く働いていて、足音さえも小さくなっているのが分かります。滑り止めも効いていると思います。買い物程度で出かける分には、歩き疲れることはないでしょう。
ちょっと気になる点
使用する内に分かった事は、履き口の周辺がかなり固く、足の曲げ方次第では痛くなることです。使い込んでいくうちに変わるかもしれませんが。滑り止めはアスファルトの上では問題ありませんが、雨の日の石畳はかなり滑ります。後、通気性は良くないです。長時間歩き回るのには向いていないでしょう。
最後に
高額なスニーカーなので気安くお勧め出来ませんが、良い物を長く使いたい方、他と同じ物を使いたくない方は是非どうぞ。周りで使っている人はまずいないでしょう。個性的で他にはない強烈な存在感があります。間違いなく所有する喜びは満たしてくれます。kiryuの服との相性も良いと思うので、「kiryu製品じゃないと興味ないよ」という方も一度実物を手に取って観て貰いたいです。もっとも、kiryuのブーツが買える程の値段なので、食指は伸びないかもしれませんが。
