ディスクトレーが閉まらない!
2022年12月某日、年末年始の休暇が始まる前。貴重な長期休暇に何をしようか、楽しみでそわそわしている頃、SOULNOTE C-1のディスクトレーが完全に閉鎖しない、とんでもない不具合が発生しました。楽しい気分に冷水をぶっかけられた感じで、蒼褪めながらもどうにかならないかと悪足掻きし、色々と弄り始めました。症状は以下の通りです。
ディスクトレー開閉釦を押すとトレーが出て来る所まではいいのですが、もう一度釦を押してトレーが後退しても、すぐに前進して全く閉まらないのです。何度繰り返しても同じ事(前後動)が延々と続くだけ。コンセントから電線を引き抜いてやり直しても駄目。動きが悪くなるとか、異音がする等の兆候が全く無かったので、完全に不意を打たれました。
音響機器の構造については全くの素人なので、無駄だと思いつつもせっかくの機会なので、通常分解をしてみました。開けてびっくり。故障の原因とは全く無関係でしょうが、予想以上に内部に埃が溜まっていました。開放画像を載せますが、写真からはちょっと分かり辛いかもしれません。この機体は上部に放熱口がある珍しい構造となっており、購入当初から埃の侵入を危惧していました。忙しさを言い訳に掃除を怠けがちなのは認めますが、それにしてもこれ程とは・・・C-1の前に使っていたDENONのDCD-1500REは、夏場など暑い時期に使い終わった後にCDを取り出すと、確かに円盤が少し熱を持っていました。C-1の天板の薄さが気になっていましたが、思えばこの板厚の薄さも放熱に寄与しているのかもしれません。ヘッドホンアンプ用として使っているORBのJADE-2 LTDにも放熱口が2か所ありますが、これには埃避けの為に目の細かい網が取り付けられています。埃対策の為に、CSRも何らかの防護措置を施すべきではないでしょうか。
天板を開けてベルトの異常を真っ先に確認しましたが、摩耗している等の異常は見られず。電源を入れてトレーを動かすと、上下動しながら発光している部品を発見しました。トレーに円盤が載っているか確認する物でしょうか。何となくこれが悪いような気がしましたが、見た目からは全く悪いところが分かりませんし、素人の手に負えないので、結局すぐに蓋を閉じることになりました。
CSRに問い合わせ
メールで不具合の詳細を伝えたところ、数日後に返信が来ました。中身を見てみないと分からないとの事でしたが、CDドライブメカに異常があるのではと予想しているようでした。修理依頼が立て込んでいるらしく、年内の受付が出来ないとの事で、年明けを待つこととなりました。
ネットでCSRの年末年始の予定を確認、営業再開の前日にヤマト運輸で元払い発送しました。適当な箱が無かったため、近場で段ボール箱を購入しました。20年以上音響機器を使ってきましたが、修理に出すのは初めての経験で、購入して早々に外箱を処分してしまった事を悔やみました。外箱は大事に取っておきましょう。
事前に1月中に修理完了出来る保証がないと言われていましたが、発送して2週間後に無事帰ってきました。しかも、こちらが発送用に使った箱だと心配なので、あちらの丈夫な通い箱で発送してくれた上、着払いの返送伝票まで用意してくれました。購入から1年経過(ほぼ1年)していましたが、無償で対応して頂きました。感謝!!
同梱されていた修理明細にはざっくりと「CDメカトレイassy交換」としか表記が無かったので、メールで問い合わせました。判明した事は以下の通り。ちなみに、assyと言う言葉は製造業経験がある人には分かると思いますが、assemblyの略語で構成部品を指す単語です。
①今回交換されたのはCDドライブ、制御回路、トレイ一式が一体になった部品で、部品のロットによる故障の傾向は確認されていない。
②サービスへ送られてくる依頼品は、修理品だけではなく有償バージョンアップ依頼も多数あり、特に年末年始は多忙である。
③カラオケ製品などの業務機器の修理も同じ部署で行っており、SOULNOTE製品ではなく業務機器の修理が修理品の大部分を占めている。
予想より早く修理完了して手元に届き、僥倖でした。動作確認、音質の変化等無いか確認しましたが、今のところ正常動作しています。ただ、部品一式変えたせいか、トレーの開閉音が変わった気がします。音が少し静かになった反面、僅かに振動しているように見えます。
良い機会なので、設置し直す時にインシュレーターを使わず、ラックに直刺しして試聴してみました。今現在使っているラックは買い替えしたいと思っているので、儘よと思い実行しました。SOULNOTEの設計者である加藤氏によると、ラックに直刺しが一番音が良くなるとの事でしたが、私の耳には大した変化が無かったと思います。
最後に
戻ってきてすぐに埃避けの布を購入。C-1とA-0に被せました。使うとき以外は天板を覆い、埃の侵入を防ぐようにしました。SOULNOTEの音質は素晴らしいのですが、スパイク3点支持による音出しや、放熱口による冷却など、他がやらないような独自の工夫が目立ちます。スパイクを装着しているのでラックが傷付くのが気になる人は、インシュレーターや専用ボード等の購入が必要となり、経済的な負担になります。また、放熱口による熱冷ましではなく、熱が籠らないようにする回路設計の方が望ましいと思います。設計思想は大事ですが自己満足で終わらず、顧客の利便性も考えた商品作りを希望します。
迅速に修理して頂いたのには感謝しますが、購入してから1年程度で故障するのは信用に関わりますし、上記の事を含めて今後の製品開発に反映して貰えたらと思います。SOULNOTEのさらなる繁栄を願って終わりとします。