初めに
2025/11/4開封、価格は4,680円。度数40.0度、容量700ml。産地はスコットランドのジュラ島、アイランズモルトに分類されるアイル・オブ・ジュラ蒸留所です。アメリカンホワイトオークの樽(バーボンの空き樽)で熟成し、オロロソシェリー樽で仕上げています。

アイル・オブ・ジュラの商品を購入するのは実に四年ぶり。10年物もありますが、値段が殆ど変わらないので12年を購入しました。銅色の缶に入って来ますが塵の削減の為、余計な物を付けない方が良いと思います。万単位の高級品で立派な木箱が付いて来るなら別ですが、通常は捨てるだけなので。瓶は特徴あるバイオリンの様な、縊れた形状を持っています。
色・香り、味わい
通常オロロソシェリーは辛口と言われていると思いますが、ラベルに「SWEET」の文字が見えます。宣伝にはジュラが「世界中の愛好家から親しまれている」とありますが、果たしてそうでしょうか。バーではあまり見かけない気がするし、流通もそれ程多くないように思えます。ジュラのマスターブレンダーのリチャード・パターソン氏はどうやら、創作的な(変わった?)樽の使い方をする事で有名なようで、これがスコッチ界隈で必ずしも良い評価をされている訳ではなく、熱心なスコッチ愛好家からは好かれないとか云云かんぬん。そんなネット情報がありました。私は変わり者が大好きなので、一向に構いませんが。
色は濃い目の琥珀色。銅と黄金が混ざった様にも見えます。香りは優しい煙の香ばしさ、潮の香り、香辛料の刺激があります。宣伝通り、柑橘系の爽やかな香りもします。この柑橘の果実感は、味覚にも表れます。



一口目から素直に美味いと思いました。最近飲んだどのスコッチとも違う。宣伝に「柑橘の果実感、ダークチョコレート」とありますが、確かにその通り。口に含んだ瞬間、チョコレートの様な香ばしさがあり、それから木の香りや柑橘の風味に続きます。中間から締めまで、きりっとした香辛料の刺激があります。余韻にこの刺激が暫く残ります。少し強い酸味が舌に残るかもしれない。また、締めにかけて苦みが少し出て来ますが、これが絶妙で心地良い感じ。全体的に、穏やかな薫香を楽しめます。控え目で程良い感じの甘さがありますが、やはり辛口寄りだと思います。
アルコールは滑らかで軽く、水の様にさらっと飲めます。舌に少しとろみを感じ、重たさは無いが、薄っぺらでもない。ネット上では「複雑さが無く一面的な味わい」とする評価も散見されたが、そうでしょうか。よく味わえば、色んな風味や味の変化があるのに気付くと思います。美味いので、開封初日から飛ばしてしまったぐらいです。
一・二割消費すると甘さが後退して、より辛口になった気がします。ラベルにある「BROWN SUGAR」の風味がここに来て感じられたが、依然として甘さは控え目。最初の一杯が一番甘かったかも。消費が進んで残り少なくなった頃の方が、煙の香ばしさを強く感じました。また、潮っぽさは終わりの方が強く、ナッツの様な風味があるのにも気付きました。塩っぽさも出て来たと思います。そして樽感が強くなった。消費毎に、味わいが変化に富んでいたと思います。
最後に
今年の夏にバーでジュラ10年の旧瓶を飲みましたが正直なところ、こちらの現行品の方が好み。基本的に、原酒が潤沢だった時代の商品の方が美味い傾向にあると思いますが、例外もあります。私は旧瓶を信仰の対象にはしていないので、現行品でも美味い物は正当に評価します。この商品は、はっとする様な分かり易い美味さではないと思います。本当に渋い味わいだと思うので好みが別れるだろうし、少し飲んだだけでそっぽ向かれてしまう可能性があるかも。人を選ぶかもしれませんが、ジュラはもっと評価されて言い銘柄だと思います。この12年物は、他の商品をもっと試してみたいと思わせてくれた良品だと評価します。ご馳走様でした。
記事公開 2025年11月22日

