初めに
2024/8/10開封、価格は7,400円。度数40.0度、容量700ml。産地はノルウェーのオス・クラフト（Oss Craft）蒸留所。バレクステンと言うのはブランド名でしょう。たまにブランド名が蒸留所名だと勘違いしてしまう事があります。ノルウェーのお酒、そしてアクアビットも初体験だと思います。
アクアビットは「命の水」を意味し、ノルウェーではじゃが芋、スウェーデンでは小麦を蒸留して作るとか。一般的に、蒸留したスピリッツをキャラウェイやアニスなどで香り付けするようです。バレクステンは蒸留後、12～18か月オロロソシェリー樽で熟成しています。
このバレクステンは上記材料の他、ジュニパーベリー、エルダーフラワー、オレンジの皮、アンジェリカの根、グレインズ・オブ・パラダイス（ギニア生姜）も使われています。ギニア生姜は初めて目にする名前です。材料を見た感じだと、ジンの親戚みたいなお酒を予想します。
色・香り、味わい
丁度これを飲んでいる時期、日向灘を震源とする地震があったと思います。「11」が付く日は（911や311）は何かが起きるとか言われているで（私はあまり陰謀論が好きではないですが）、8月11日に何か天災でも見舞われるかと少しだけ不安でしたが、何も無かったので良かったです・・・
色は黄色みがかった透明と言うか、薄い白ワインみたいな色です。シェリー樽で熟成していますが、琥珀色には染まっていません。香りは香草系リキュールで嗅いだような感じで、悪く言えば歯磨き粉臭い匂いです。これはアニス由来だと思います。
最初は栓が結構固く、抜くのに力が要りました。注ぎ口の形状が悪いのか、毎回液が垂れて困りました。私はアクアビットを「ウォッカとジンの合いの子」みたいだろうと予想していましたが、全然違いました。
一口目の感想は不味い。私は食べた事がないですが、シュールストレミングやアルミサッキ等、北欧人の味覚は変わっているのでしょうか。美味しく飲む酒と言うより、薬みたいです。
第一印象としてはお世辞にも美味いとは言えず、きつい香草の香りが口一杯に広がり、舌にちょっと嫌な感じのびりびりとした刺激が停滞します。余韻にきつい酸味もあります。材料だけ見ればジンと大差無い筈なのですが・・・ジンともウォッカともかけ離れた味覚です。
どこか和菓子のような味もすると思いましたが、何だろう。少し甘く、強い酸味を感じるのはキャラウェイ由来と思います。キャラウェイは料理やお菓子の香り付けにも使われます。歯磨き粉みたいなすっとした香りは、アニスによるものでしょう。ジュニパーも使われていますが、ジュニパーらしい甘さや深緑の香りは感じられませんでした。多分、アクアビットはアニスとキャラウェイが主体なのではないでしょうか。この二つの材料の力押しみたいに思いました。生姜も使われているし、ジュニパーやオレンジが弱いのだと思います。だから薬用酒みたいな性格になる。
暫く飲んだ後も評価は変わらず「甘さを抑えた香草系リキュール」みたいな感想です。アニスが強く効いているのでしょう。シェリー樽で熟成していますが、樽っぽさは出ていないと思います。特に樽熟成の恩恵は感じられません。個人的な意見では、ジンも無色透明な方がスピリッツや材料本来の味わいを殺さないので、この手の酒は樽熟成しない方が正解だと再確認しました。
カクテル
すっかり定番になったフィーバーツリーのトニック割り。キナの香りが強い元味だと良くないと思い、エルダーフラワーを使用しました。アクアビット30mlに対し、トニック使い切りで。桃のような爽やかな香りと味わい、程良い炭酸でさっぱりとしたカクテルに仕上がりました。メディトレニアンで割ると、普通にアクアビットの炭酸割りみたいになるので、エルダーフラワーの方がずっと美味いと思います。ただ、エルダーフラワーはトニックの個性が強く出る印象で、スピリッツ自体の風味を抑制している感じがします。
最後に
正直なところ、美味しくないと思います。美味しくないけれど・・・最近体調不良だったのが、これを飲んだ後少し元気になったので、効果があったのかもしれません。瀕死の兵士にラムを飲ませたら息を吹き返した、みたいな話もあります。値段が妙に高いのは生産量とか流通が少ないせいでしょうが、この価格なら、私はアクアビットの代わりに美味いジンやウォッカを一、二本買うと思います。スウェーデンの小麦から作るアクアビットが気になりますが。気が向いたら、そちらも試したいと思います。
記事公開 2024年10月12日
