初めに
2026/1/2開封、価格は25,650円。度数53.4度、容量500ml。熟成年数は13年。冷却濾過はしておらず、ラベルに「COLOURING-FREE」と書いてあるので、無着色でしょう。産地はスコットランド、ブルイックラディ蒸留所です。私がこれまで購入した酒の中で、最も高額な商品(フルボトル換算なら40,000円近い)となりました。恐らくこの様な高い買い物は、二度と無いと思います。

年末は日本酒三昧だったので、そろそろ別の酒をと思い開封。思い返せば、オーペスのライブの記念で開けようと思い、9月に購入してからずっと温存していたのでした。普段は消費が早い自分ですが、今回は大事に飲む事に決めました。そして、心して評価しよう。大事に飲むと言っても、何杯も飲んで消費が進まないと、正当な評価が出来ませんが・・・
色・香り、味わい
色は濃い琥珀色に少し赤みを足した感じです。高級品なせいか、いつもより色が綺麗だと思ってしまった。実際、注ぐ時に黄金に赤銅を足した様な酒の輝きに見惚れました。この発色は後述するワイン樽の影響によるものでしょう。オークよりはワイン系の影響を強く感じるだろうか。仄かな酸味や果実感があり、刺激は弱くて優しい香りです。半分近く消費した後の方が、香りが強くなりました。
ラベルを見ると、手書きで53.4度と書いてあります。ヴァリンチと言えば、モートラックのヴァリンチをバーで飲んだ事があります。この商品と違い、ラベルは手作り感が強い物だったと記憶していますが、天に召されそうな程美味かったのを覚えています。ラベルにはブルイックラディのビジターセンターに務める、カレン・クックなる人物の写真が貼られています。そこにはカレンさんとやらが縁の下の力持ちである事や、労いの言葉が書かれています。こう言うのは良いですね。日本の会社では、社員に対する感謝など殆ど無いからです。ブルイックラディは瓶のデザインが秀逸。単純ですが、文字の配列や大きさ等、とてもセンスが光ります。



注ぐ時に口が広くて、勢いよくどばっと出てしまった。アルコールは度数相当か、やや強く感じます。13年の物にしては膨らみが少ないと思いますが、原酒不足の昨今ならこんなものでしょう。熟成感は年数相応かそれ以下と言った感じです。最初の一口は塩気が結構ありました。余韻にも少し塩気が残ります。色の濃さからシェリー樽を使っているだろうと思いましたが、ラベルを確認するとファーストフィルのペサック・レオニャン樽を熟成に使っているのが分かりました。このワインは聞いた事がないので、恐らく樽の流通が少なく貴重なのではないでしょうか。
甘さ控え目で辛口が強く、香辛料の刺激は弱め。最初は味わいよりも、ペサック・レオニャン樽由来と思われる香りの豊かさが印象的でした。口内に入ってから喉を落ち、余韻に浸るまで持続する香りの良さが素晴らしい。原酒が若く未熟さを拭えないですが、それを補うだけの香りの良さがあるかと。豊潤にして煌めく様な香しさが口一杯に広がります。香りだけは間違いなく、本当に素晴らしい。


三杯目になると、香辛料の刺激が強くなりました。と言うか、塩っ気がそのまま置き換えられた感じ。塩っ気はやがて殆ど無くなったと思います。その代わり、香辛料の刺激がかなり強くなり、渋みも出て来ました。二杯目の方が味わいが丸く、そして甘く感じました。流石に、クラシックラディよりかずっと美味いです。が、価格差を感じる程ではない。残り三分の一ぐらいになると渋みが強くなり、四分の一ぐらいになると、香りが増して少しだけ甘みが増しました。口の中で転がし、噛み締める様に味わうと、ワイン由来の香気が実に心地良く、香しく広がります。終盤は煙草の様な香りや、珈琲みたいな香ばしさや、少しばかり苦みもあったかと。また、無機質も感じられ、タンニンが強くなりました。消費毎に味わいが少しずつ変化したと思います。
最後に
価格程の価値や美味さがあるのか?と問うのは無粋でしょう。本当なら、海を越えて自ら蒸留所を訪問しないと手に入らない貴重な品。大袈裟ではなく、一生に一度の記念になるかもしれません。バーテンダーでさえ、蒸留所巡りは夢のまた夢だからです。忌憚の無い意見を述べるなら、今回飲んだ商品でしか得られない、特別な美味さは無いと思います。酒は棚に飾っておく物ではなく、消費して楽しむ物であるから、遠慮無く飲みました。残念ながら値段の割に、美味さがかなり不足していましたが、香りは本当に良かったです。
記事公開 2026年3月21日


