初めに
2024/7/13開封、価格は4,980円。度数58.4度、容量750ml。産地はアメリカ、ケンタッキー州のワイルドターキー蒸留所(オースティン・ニコルズ社)の商品です。ワイルドターキーは1855年創業の輸入酒商、オースティン・ニコルズ家が禁酒法解禁後に興したブランドです。1960年までJTSブラウン蒸留所(閉鎖)の原酒を購入してブレンドしていましたが、1971年にケンタッキー州のリピー蒸留所を買収した後は、自社で蒸留から熟成まで一貫して行っています。
レア・ブリードは熟成の頂点に達した樽を選び、ラベルにある通り、加水せずに樽出し(BARREL PROOF)のままで瓶詰めし、少量生産されています。年数表記はありませんが6年、8年、12年の原酒のブレンドです。海外サイトの情報ですと、材料は玉蜀黍75%、ライ麦13%、大麦12%の比率だそうです。
色・香り、味わい
開栓すると、既にコルクが腐食していました。そんなに古い物ではないと思いますが・・・食用に使われるシリコンだと興を削がれるので、コルクがいいのですが、コルクは劣化し易いのが難点。
色は深く濃い琥珀色。香りは酸味を伴った甘い香り。キャラメルやオレンジ、香辛料にバニラを感じられます。
加水しない樽出しのままなので流石にアルコール強め。テンプルトン・ライ・2020バレルストレングス以来の度数が高い(60度近い)バーボンを久しぶりに飲みましたが、体調面もあるのか、かなりアルコールを強く感じました。
開栓直後は酸味や香辛料の刺激が強い感じ。最初に酸味を伴った香辛料の刺激、その後に遅れてメープルやキャラメルのような甘さ、最後に煙草のような煙たさがあります。香辛料の刺激以外に、樽の香りも徐々に伝わって来ました。啜るだけだと分かり辛いですが、口によく含んで時間をかけて賞味すると樽感が分かります。そうすれば、豊かな甘み・旨味も伝わって来ます。
私は自分の味覚を一番信用していますが、他者の意見も参考になるので、よく海外サイトを覗きに行きます。とある海外サイトの見解で面白いものを発見しました。「この商品があまり注目されないのは、瓶やラベルの主張が弱いからである。pick me up!(私を買って!)と言う目立ちが無いからだ」。大体そんな内容でしたが、確かにそうかも。
私が尊敬する服飾デザイナーの鈴木さん(仮名)と酒に関する会話をした時、CDの「ジャケット買い」じゃないけれど、酒も見た目から購入を決める事があると言っていました。確かに、センスの良いデザインなら購買意欲をそそられるでしょう。ワイルドターキーは地味なラベルに七面鳥の絵。一見さんなら「何これ?」と思っても不思議でない。実際、私はこの銘柄をずっと避けていたかもしれません。
話を戻しまして。二日目以降はアルコールのきつさが抑制され、少し円やかに変化してさらに美味く感じられました。ワイルドターキー101の原酒が6~8年なのと比較すると、流石にこちらの方が熟成感があります。また、こちらの方が香りと味わいが複雑で、価格差を裏切らない上位さを感じれます。
最後に
101と味の方向性は同じと思われますので、単純に上位互換と言う印象でした。101の出来がとても良いので、それで満足しても良いとは思いますが。常飲用にするにはやや高い価格設定ですが、また購入してもいいかなと思える商品です。美味しかったです。ご馳走様。
記事公開 2024年9月15日