初めに
2023/6/22開封、価格は3,280円。度数40.0度、容量700ml。産地は「天国に最も近い島」と称されるモーリシャスのグレイス蒸留所です。
この商品はモーリシャス産のさとうきびを使用したラムです。グレープフルーツ、パッションフルーツ、ライチ、ライム等で自然な香り付けがされています。多分蒸留はモーリシャスですが、瓶詰めはフランスで行われているためか、原産国がフランスと表記されています。ホワイトラムを飲むのはこれが初めてな気がします。
色・香り、味わい
色は完全な無色透明でなく、少しだけ濁った色をしています。香りは極めて特徴的。石鹸やシャンプーのようなやや強い香りがします。他には砂糖菓子やレモンケーキのような、かなり甘い匂いもします。
言い方が悪いですが、トイレの芳香剤のような匂いとか、私が子供の頃に流行った匂い付き消しゴムのような香りとも言えます。やや人工的な感じで、好き嫌いが分かれるでしょう。
味わいは胡椒のような香辛料の印象から、トロピカルジュースと続きます。結構甘いです。他にミントやレモン、蜜柑のような柑橘系の味。ぴりっとした感覚はやや強めで、余韻にこの刺激が極めて長く続きます。香りも口内にかなり長く停滞します。
ちょっと普通じゃないほど余韻が長いかもしれません。飲んだ後、口の中や舌が熱を持ったように火照り、かっと熱くなります。結構刺激的だ。喉を落ちる瞬間には苦味もあり、その他には煙草のような匂いがあります。
確かにスパイスドの名称通り、香辛料的刺激が強いです。そこに甘さの強い南国系の果物を使ったジュースのような味覚が同居します。ライチやパッションフルーツが大きな役割を果たしているのでしょう。複雑な味わいだと思います。味わいも特徴的で、これまた好き嫌いが別れるかと。
普通のラム（普通って何だ？と言う話ですが）が飲みたい人は、避けるかもしれない代物です。不味くはないが、最初の印象では個人的にこのような個性は不要だと思いました。しかし、後半になると飲み慣れてきたせいもあるのか甘さがやや抑制され、すっきりと変化しました。最初は芳香剤のような香りと思いましたが、最後には華やかさへと印象を変えたと思います。
カクテル用として使うのも良いでしょう。タンブラーに適量のホワイトスパイスドと、たっぷり注いだ炭酸を混ぜる。すっきりした味わいで、ハイボール感覚で楽しめるでしょう。混ぜると味は薄いものの、香りが顕在。普通、酒は希釈されると香りも漏れなく弱くなりますが、このホワイトスパイスドは香りが全く弱まらないのが驚きです。希釈前と殆ど変わらないと思います。
最後に
ラムと言うより一風変わったジン、例えばキュービカルのキスジンのような甘い酒に香辛料の刺激が加わったような印象を受けました。面白い商品で、一度は買ってみる価値があると思います。夏場に飲むと良さそうなラムです。飲んだ後目を閉じて感じられる感覚は、夏の蒸せる大気や深く青い空、力強い深緑を想起させ、夏の生命から熱い抱擁を受けているような、濃密な夏の気配を纏った不思議なお酒。今の暑い時期に飲むので、そう錯覚させるのかもしれませんが。最初はいまいちかと思ったものの、最後には好きになりました。一度飲んだら絶対に忘れられない個性を持った酒です。ご馳走様。
