労いの酒
2025年4月某日。この日はちょっとした遠征をして、政治活動の応援に行って来ました。内容はデモの参加や事務的な仕事です。勿論、私が応援するのは唯一の救国政党、れいわ新選組です!段々とれいわ支持者達の顔馴染みが増えてきて、再会すると固く握手をしたり、他市から応援に来る常連の顔も分かるようになってきました。れいわは支持者からして本気で、政治・経済に明るい人達が多く、年齢層が幅広いのが特徴です。今、れいわの勢いが過去最高で、追い風が吹いていると思います。参院選(7月20日予想)に向けて、どんどん候補者が出揃ってきています。夏の選挙はかなり期待出来ると思います。最近は財務省だけでなく、自民党解体デモも行われており、いよいよ悪党を引きずり下ろす為の包囲が進んでいると思います。ただ、YouTubeの書き込みを見ていると、参政党や日本保守党に騙されている人達が多いようで、その辺は本当に心配ですが・・・
一仕事終えて地元に帰ると、駅周辺にある定番となったラーメン屋で胃袋を満たしました。労働の後のラーメンとビールが美味い。最近は健康志向と経費削減の為、外食ではなく質素な自炊が多いですが、たまには不健康な食事も許しています。少し咽てしまいそうな程辛い台湾ラーメンをいただきました。食が細い方ですが、この日は替え玉まで頼みました。完食して店主にご馳走様と挨拶し、馴染みのバーまで歩き始めました。
以前は年三回、大型連休の時だけバーで贅沢をしていました。最近は頻度が二倍になり、美味い酒の探求と贅沢な時間を過ごす楽しみが増えました。金銭的な理由より、心のゆとりと休日が増えた事が一番大きく影響しています。さて、いつもながら時間が空いてしまった事もあり記憶が曖昧ですが、酒飲みによる雑然とした記事を始めます。
馴染みのB店
店の扉を潜ると、暗くて心が落ち着くいつもの店内。私が入店した時は他に客はおらず、貸し切り状態でした。B店主がこちらの顔を確認すると、よく来たねと言う感じの表情で迎えてくれました。先ず最初の一杯はカクテル。カクテルに関しては余り冒険しない私は、定番のジントニックを注文。丁度桜が満開の時期で、日中に見た綺麗な花の色を思い返しながら、酒を喉に落としました。
店主に最近飲んだ酒の事を聞かれたので、ラムJMが美味かった事を話したら、同じフランス海外県マルティニーク産のラムを出してくれました。クレマン・レリクシールです。ラムJMと同じくアグリコールラムです。「l`elixir」の綴りからして、エリクサーの事でしょう。このラムは兎に角香りが華やかで素晴らしかった。そこまで味わいに膨らみは感じなかったが、興味が沸いたので他の商品を試してみたいと思いました。



この夜も店主と酒に関する事や、その他色々雑談を交わしました。アブサンの幻覚作用について聞くと、現在のアブサンはそれこそバケツ一杯飲まないと、幻覚など見ないとの事でした。そりゃそうですよね。勿論、それだけ飲めば急性アルコール中毒で死ぬでしょうけれど。有名画家のフィンセント・ファン・ゴッホはアブサンの愛飲家だったそうですが、その当時のアブサンはツヨン(ニガヨモギに含まれる成分)の濃度が現在と桁違いだったので、本当に幻覚を見たのかもしれません。
ラム以外だと、最近アイリッシュに注目している事を話すと、ティーリングの商品を出してくれました。ティーリングは何度か飲んだ事があるので、品質には期待が出来ました。せっかくなので飲み比べと言う事で、15年ザ・リバイバル・ラムカスクと15年エクスプローラーズ・ジャパニーズエディションをいただきました。ジャパニーズエディションは日本の麦焼酎の空き樽を仕上げに使っています。


良い酒はじっくり味わうよう心掛けています。液体の色を楽しみ、グラスを回して立ち上る香りを確認したり、飲む前に充分時間をかけて色んな情報を探ります。店主がティーリングはブッシュミルズの原酒を使っている(全ての商品がそうではないようですが)と教えてくれましたが、全くの初耳でした。
どちらも15年ですが、値段はラムカスクの方がずっと高いです。結論から言うと、明らかに麦焼酎仕上げの方が美味かった。ラムカスクの方はなるい感じで、15年の熟成は感じられず。これ本当に15年?と疑問に思う程、ぼんやりと軽い印象でした。一方麦焼酎の方はラムカスクより膨らみがあり、しっかりと甘さを感じつつも、きりっとした辛口の締め。私がよく利用するネット上の販売店は「カフェオレやパイナップルの味わい」と説明しているけれど、私は日本酒のスパークリングのような爽快さを感じました。麦焼酎樽の影響も確かに感じ取れたと思います。素直に美味い。もっとじっくり味わいたい欲求が湧き、購入候補に入れても良いだろうと思いました。
雑談の中で、土屋さん(モルトウィスキー大全で有名な土屋守氏と思われる)がアイリッシュの本を書いている(書いた?)みたいな話も聞けました。今はネットであらゆる情報が手に入りますが、自分の足を使って苦労して書き上げた本には敬意を払います。今度ウィスキー大全の最新版を買おうと思います。最近は、AIに書かせた粗悪な本がamazonに出回っていると聞きます。注意されたし。アイリッシュは他にも気になる銘柄がいくつかあり、少しずつ探求して行きたいと思います。


次にいただいたのが、閉鎖蒸留所のインペリアル23年。ネット通販でよく見かける、瓶詰め業者キングスバリーの商品です。キングスバリーにはシルバーとゴールド二つの系統がありますが、こちらはゴールド。ラベルの情報からアルコール52.7度、1995年蒸留、ホグスヘッドと言うのが分かります。裏面のTasting NoteにはAPPLEの文字が。確かに果実的な味わいですが、私の味覚には林檎と言うより、一口飲んでパイナップル!!と感じました。味わいが濃く、パイナップルのような果実的な甘さと酸味、そして液体の金色も相まって、煌めくような素晴らしい味わいでした。やはり私は、はっきりした分かり易い味わいが好みなのだと思います。
この日は店に4時間も浸りましたが、私を含めてたった二人の客がいたのみ。とても静かな夜で、閉店時間前に店が閉まりました。隣の客は熱心なモルト愛好家のようで、日本の物も含めて沢山飲んでいました。気さくに話しかけてくれたので、こちらも友好的に応じました。同好の士と言うのは、人間関係を築き易い。交わした言葉の数は少なかったけれど、穏やかに流れる時間を他者との交流で埋めるのは悪くない。
バーではそこら辺で買える酒は飲まないので、店主もそれを分かっており、いつも希少な酒を出してくれます。最近またコニャック等フランス産のブランデーに気が移っているので、お次はコニャック。モネ・ジョセフィーヌ・エクストラ・ベル・リザーブとアルベール・ロバン・ナポレオン。ジョセフィーヌとはナポレオンの妻の名前だそうで。アルベール・ロバンのラベルには特級表示が。



モネの方は色が黒く、アルベール・ロバンは照明の光を通すとルビーのような色でした。どちらも女性的な印象で、しっかりとしたこくがあり、皮の付いた葡萄の実のような豊潤さを感じました。旨さよりも葡萄の存在感と言うか、元の素材を幻視するような酒で、実に良いと思います。煙草に合いそうだ。残念ながら、このような美味いコニャックは中々個人では入手出来ません。入手経路はやはり企業秘密でしょうか。今時の小奇麗な瓶と違い、少し古い酒の瓶は良い味わいがありますね。
私が一番好きなスコッチの銘柄の一つはタリスカー。この晩は正規品ではなく瓶詰め業者の商品をいただきました。ハンターレインのオールドモルトカスク7年とダグラスレインのオールドパティキュラー11年。タリスカーは余り瓶詰め業者に原酒を放出していない印象で、ハンターレインかダグラスレインぐらいしか見た事無い気がします。店主は最近のタリスカーは、アイラを意識しているのがあまり好きではないと言っていました。オールドモルトカスクは若しかしたら、2021年に飲んでいたかも・・・どちらもタリスカーらしく潮を感じる美味しさでした。どちらかと言えば、ダグラスレインの商品の方が良かったと思います。これは目黒のバー「ザ・マッシュタン」と言う店が関係しているようです。




言い訳ですが、この日は極端に客が少なく店主と会話する時間が長かったので、記録が余り取れていません。自分の記憶力の悪さには失望しますね。ブログの為にバーの記録を取っている人達は沢山いますが、皆詳細に覚えているようで感心します。見習いたいものです。私の場合はだらだらと、これ飲んだあれ飲んだと言う記録になってしまいがちですが悪しからず。
店主は週一日の休みですが、その休みも店に来てくれるお客さんの所に行ったり一緒に飲んだりと、半分営業活動みたいで、本当に大変だと思います。もう何十年もバーテンダーをやっていますが、まだまだ気力が充実して、当分この仕事を続けるつもりのようです。店主は出来るだけ自分が美味いと思う、人に勧められる酒のみを出すと言う(不味い酒は出さない)、確固たる信念を持って店に立っています。店主は下積みが僅か数年で自分の店を開いたようです。恐らく右も左もまだ分からない、手探り状態で店を始めたと思いますが、この仕事が本当に好きで、努力家で、未知に飛び込む勇気が無いとやれないと思うので敬服します。
店主が80年代後半のカタログを見せてくれましたが、この時期グレンリヴェット12年が一万円を超えていたとか・・・今では信じられませんね。バブル期は「所謂ステータス」で日本人がコニャックを飲んでいたと思いますが、私は天邪鬼なのでヘネシーとかレミーマルタンみたいな有名どころは余り飲まないようにしています。




最後に注文したのがグレントレス12年とポッチ・ゴー12年(旧瓶)です。この辺りになって来ると記憶が怪しく、どのような経緯で飲む事になったか覚えていませんが、多分これらの主要モルトがタリスカーなので、その流れで飲む事になったと思います。美味しかった事だけは覚えています。
最後に
この日も美味い酒に有り付けて、非常に満足でした。店主に感謝の意を感じつつ挨拶して、店を出ました。家に帰って何とか風呂には入りましたが、髪を乾かさない内に寝てしまいました。次の日(既に日付が変更していたが)は半日使い物になりませんでした。日頃強い蒸留酒ばかり飲んでいますが、やはり沢山酒を飲んだ次の日は何もやる気が起きないぐらい、ぐだぐだになってしまいます。
この日に一番印象に残ったのはインペリアルと、ティーリングでした。それからコニャックも大変美味しかったです。キングスバリーの商品は前から注目していたので、近い内に自分で購入して試してみたいと思います。
記事公開 2025年5月5日