遺伝子組み換えついて
遺伝子組み換えとは、目的に適した遺伝子を見つけて取り出し、全く別の生物の遺伝子を人為的に組み込む事です。「交配」は自然界の中で普通に発生しますが、遺伝子組み換えは自然界に存在しません。遺伝子組み換えという言葉が出始めた頃は、新聞・テレビで時折報じられましたが、最近ではだんまりを決め込んでいます。目立たない方が都合が良いのでしょう。
2009年にAAEM(アメリカ環境医学会)は遺伝子組み換え食品の即時出荷停止を求める、緊急声明を発表しています。積み上げられた動物実験の結果によって、判明した事実があります。遺伝子組み換え食品はアレルギーや免疫機能、生理学的(妊娠・出産)、遺伝的な分野で深刻に健康を害する可能性が大いにあると判明しています。興味深い話で、遺伝子組み換え発祥の国でありながら、その内側から警告が発せられています。アメリカも一枚岩ではなく、善意を持った人達が少なからず存在し、自浄作用がある程度働いているのでしょう。
モンサントの遺伝子組み換え大豆の製作過程は怪しさが極まっています。同社のラウンドアップ生産工場の排水溝から、ラウンドアップ耐性を持つ微生物が偶然発見されました。その微生物の遺伝子を組み込んで作り出されたのです。偶然と言いますが、排水を採取して色々調べていたのではないでしょうか。モンサントの遺伝子組み換え作物は、ラウンドアップと必ず抱き合わせで販売されます。ラウンドアップは作物を無差別に枯らす強力な除草剤なので、耐性が無い作物も雑草と同じように枯れてしまうからです。アメリカの言いなりを続ければ、遺伝子組み換え食品で人体が蝕まれ、ラウンドアップで土壌と地下水の汚染、さらに他生物への被害も甚大に及びます。この遺伝子組み換え大豆とラウンドアップの抱き合わせ販売は1996年から開始されています。
日本に広く浸透する遺伝子組み換え食品
日本の遺伝子組み換え作物の輸入は年間数千万トンにも及びます。日本は世界有数の遺伝子組み換え消費国です。アメリカで1998年にモンサントが遺伝子組み換え小麦の開発に成功しました。しかし、国民の強い反対に合い、2004年に撤退しています。日本の輸入小麦の約50%がアメリカ産ですが、もしかしたら遺伝子組み換え小麦が流れてきていないか・・・私にはそんな疑念があります。
日本で豆腐などの原料に使われる大豆の国内自給率は僅か7%で、残りは輸入に頼っています。アメリカ、カナダ、ブラジルなどから輸入していますが、それぞれの国の遺伝子組み換え大豆の作付け面積比率は90%を越えており、即ち国内に流通している輸入大豆もほぼ全て遺伝子組み換えと思っていいでしょう。現在、日本に流通している遺伝子組み換え作物は大豆、とうもろこし、菜種、綿、じゃがいも、甜菜、アルファルファ、パパイヤがあります。これらを主原料とする加工食品320種類の中で、遺伝子組み換えの表示義務があるのは僅か33種類です。大豆を例に挙げると、醤油や植物油には表示義務がありません。
日本の遺伝子組み換えの表示制度は2001年4月から開始されています。これには日本消費者連盟の方々の尽力があったお陰です。遺伝子組み換え作物が5%以上使用されている場合は「遺伝子組み換え」、生産・加工・流通の過程で遺伝子組み換えが混入する可能性がある場合は「遺伝子組み換え不分別」と表示されます。未使用・混入の可能性が無い場合は表示無し、或いは「遺伝子組み換えでない」と表示も可能です。しかし、この表示制度には三つ抜け穴があります。
①遺伝子が組み換えられたDNA及びそれらによって生成された蛋白質が残らないものには、5%以上の混入があっても表示義務が無い。
②重量順で原材料の上位三品目に入り、尚且つ原材料の全重量に占める割合が5%以上のものにしか表示義務が無い。
③5%以下の意図せぬ混入には表示義務が無い。
①を理由としてマーガリンやマヨネーズ、コーンフレーク、揚げ物に使う油など身近なものに遺伝子組み換えが使われている可能性が非常に高いです。遺伝子組み換え飼料を与えられて育てられた家畜や、畜産品(卵・牛乳)も表示義務を負いません。
2023年4月からこの表示制度が変更されるようです。任意表示に新たに「分別生産流通管理済み」など新項目が設けられたり、表示に関して厳格化?が進むようです。まだどのように着地するか分かりませんが、正直なところ余り期待していません。遺伝子組み換え食品が存在しなければ、それに関する表示で悩む必要はありません。何故、遺伝子組み換えにはっきりと断固拒否を突きつけられないのでしょうか?直ちに法整備をし、遺伝子組み換え食品の輸入と生産、研究を全て禁止。永久に日本から追放すべきです。
少しだけ、食品表示について補足しておきます。商品の表示を見ると「国内製造」という文字を目にすることが多くあると思います。これは国産と言う意味ではありません。原材料が海外産であっても、国内で加工されている物は国内製造という表示になります。
上の画像を注目して下さい。大豆が「国産・三重県」とあり、さらに遺伝子組み換えではないと表示してあります。国産と表示されているのであれば、原材料が日本で栽培された証になります。2022年現在、日本では遺伝子組み換え作物は栽培されていないので、原材料にアメリカやカナダの大豆を使っていないのであれば、まず間違いなく遺伝子組み換えではないでしょう。
比べてミツカン製の納豆はどうでしょう。大豆は「アメリカ又はカナダ」とあり、「分別生産流通管理済み」の表示もあります。これは食品表示法の改正に先駆けて、企業がこのような表示をしているのでしょう。この分別生産流通管理済みの表示は、遺伝子組換え作物の混入を防ぐために生産・流通・加工の各段階で、遺伝子組換え大豆と分けて管理されていることを保証するものです。しかしどうでしょう。もし同じ工場内で遺伝子組み換え作物が取り扱われている場合、「意図せぬ混入」があっても不思議ではありません。それから醤油の項目に「小麦、大豆を含む」と表示されているのも見逃せません。この部分には「遺伝子組み換えではない」などの表示は有りませんが、先に挙げた三つの抜け穴に照らし合わせれば、遺伝子組み換え大豆が使われていても不思議ではありません。
はっきりと「国産・遺伝子組み換えではない」と表示しない企業は信用してはなりません。ちなみに、小麦に関してはモンサントでも遺伝子組み換えは未だ行っていない模様です。
日本は世界の潮流の変化を刮目して見よ
EU内でも遺伝子組み換え作物の栽培は行われています。但し、厳しい規制が設けられています。遺伝子組み換え作物の表示はスーパーの商品だけでなく、飲食店でも義務付けられています。どうのような生産過程を経ているか追跡可能な表示や、使用された全ての遺伝子組み換え原料を表示しなければなりません。2011年にドイツ、スウェーデン、ポーランドが遺伝子組み換え作物の栽培を中止。2014年にフランスが遺伝子組み換えとうもろこしの栽培を全面的に禁止。2015年にルーマニア、2016年にスロバキアも遺伝子組み換え作物の栽培から撤退しています。このように欧州では「遺伝子組み換え離れ」が進んでいます。もっとも、遺伝子組み換え離れで済ますのではなく、はっきりと人類の歴史から抹消すべきなのは言うまでもありません。
この他に欧州での動きとしては、イタリアではトスカーナ地方で自然農法が盛んに行われています。あの福岡正信さんが提唱した自然農法です。日本で福岡さんから学んだ人達が国へ帰り、自然農法を始めたそうです。「盛んに行われている」ということは、自然農法が農家の生計と秤にかけても、実現可能であることを証明しています。また、イタリアの有機栽培農地面積は日本と比較にならないほど広く、凡そ70倍に達します。
この他に、他の国々はどうなっているのか。ロシアでは2016年8月に上院で遺伝子組み換え作物の生産及び輸入を全面的に禁止する法案が可決・成立しています。また、有機栽培への転換も表明しています。
韓国の学校給食では有機栽培された米が提供され、有機野菜も多く使われています。また「米が主食だから」という理由でパンやパスタは出てきません。加えて、学費・学用品・学校給食は無償で提供されています。日頃、日本人は韓国を馬鹿にしていますが(私も含めて)、学校給食では韓国に劣っている言われても仕方ありません。敵からも学ぶところは沢山あります。日本の学校給食の原価は一食当たり100円台と言われていますが、実際に業者に支払われている金額は1,000円という話もあります。業者と直接取引ではなく、中間業者を挟んでいるせいです。日本では中間搾取は「国技」みたいなものですから。しかも魚は冷凍、食材も輸入品ばかりです。可能な限り原価を押さえ、業者への支払いは最大限に高く見積もり、そこから中抜きしているのです。腐りきった国、日本!!
家畜や生態系への影響
2002年、アメリカ有機農産物消費者協会の機関誌への掲載より。アイオワ州で農場を営むジェリー・ロスマン氏から、飼育している雌豚の群れの実に80%が妊娠していないか、疑義妊娠を起こしているという報告がありました。近隣の農場4軒も同じ状態にあり、原因を探っていくとある共通点が見つかりました。それはBtコーンと呼ばれる害虫抵抗性の遺伝子組み換えとうもろこしが餌として与えられていたという事です。餌を通常のとうもろこしに替えてしばらくすると、症状が劇的に改善したそうです。
BtコーンのBtとは細菌の一種で「Bt毒素」と呼ばれる殺虫性蛋白質を生成することでも知られる「バチルス・チューリンゲンシス」の頭文字を取ったものです。とうもろこし以外にもじゃが芋や綿などで実用化されています。この毒素は作物の葉や茎だけでなく、花粉や根っこに至るまで全体へ効力が及びます。害虫が食べただけで死んでしまうので(あっという間に絶命する)、殺虫剤が必要ないとの宣伝文句です。しかし、害虫だけでなく蜜蜂や天道虫などの益虫まで(この呼び方自体、人間の勝手な都合ですが)無差別に殺してしまうのであれば、「害虫抵抗性」というより「殺虫性」作物と言い換えた方が良いでしょう。
モンサントの説明だと人体へ害を与えないとの事でしたが、最近の研究では腸管壁浸漏症候群(リーギーガット症候群)との関連性が指摘されています。この病気は腸の粘膜に穴が開いて、本来なら排除される有害物質が体内に取り込まれてしまう症状を発症します。
遺伝子組み換え作物も植物である以上、自然界で自己増殖していく可能性があります。病気や害虫への抵抗性を持ち、収穫量を増やすことを目的として開発されたので、当然「強い」のです。在来種を駆逐して勢力を広げていくことでしょう。風で飛ばされた種子を人間の手でどうこう出来るはずがありません。遺伝子組み換えの人体への影響は前述したとおりですが、これが自然界に解き放たれて自生し、或いは自然界の種と交雑した時にどのような変化をもたらすのか、全くの不明です。遺伝子組み換えでない作物を育てている畑に、風に運ばれて遺伝子組み換えの種子が飛来することもあるでしょう。既にメキシコでは、遺伝子組み換えとうもろこしの栽培が北部に限定されているのにも関わらず、南部で発見されるなど人間の手を離れて数を増やしているのが確認されています。
ゲノム編集について
次に、ゲノム編集について記述します。ゲノム編集とは特定の遺伝子を狙い撃ちして切り取り、生物の特徴を変化させる技術です。遺伝子組み換えが全く別の生物の遺伝子を組み入れるのに対し、ゲノム編集は当該生物の遺伝子を切り取る点に相違があります。
EUでは2018年7月に司法裁判所が「ゲノム編集は遺伝子組み換えと同等のものであるから規制すべし」と判断しています。ゲノム編集の危険性としては予期せぬ遺伝子喪失、損傷、置き換えが世界の学会誌に報告されています。2018年8月に環境省は「ゲノム編集は遺伝子組み換えではない」と見解を発表しました。同年9月には厚生労働省の薬事・食品衛生審議会遺伝子組み換え食品等調査会で、「ゲノム編集は新たに別の動植物の遺伝子が組み込まれていないから、従来の品種改良と同じで安全である」と報告書を纏めています。行われた審議は僅か4回でした。
EUでは表示義務が課せられていますが、対して日本はどうでしょうか?国はゲノム編集食品について、届け出と食品表示の2段階で制度を検討。2019年9月19日、厚生労働省が届け出制度を10月1日から始める通知を出しました。10月からはゲノム編集食品の開発者らは、届け出前に厚生労働省に相談し、開発した食品が制度の対象になるかどうかの判断を受けるとしました。対象であれば有害物質や外部から加えた遺伝子が無いこと、技術の詳細などの情報を提出して安全性審査無しで販売できるとしました(外部から加えた遺伝子が残る場合は、安全性審査が要る)。但しこの届け出制度は「任意で違反しても罰則は無い」ので大した意味はありません。食品表示については消費者庁が同日19日、義務化せずに任意の表示(ホームページ等)にすると発表しました。これ、表示も届け出も任意なら、面倒くさがって誰もやらないでしょう?この制度を成立した意味は皆無ですよね。実質ただの野放しです。義務化しないと言う事は「万が一不正があった場合には、国も国民も知る由が無い」って、怖いですよね。
ゲノム編集は安全であると国民を洗脳したい思惑が、日本各地の大学や民間企業主催の勉強会という形で具現化しています。この勉強会の共催や後援には内閣府や農林水産省があたっています。京都大学の肉厚の真鯛、筑波大学の栄養価が高いトマト、大阪大学の毒素の無いじゃがいも、産業技術総合研究所の低アレルゲン卵などがゲノム編集技術により研究・開発されています。こんな禄でもないことのために予算を投じて研究しているとは、日本の大学は情けなさ過ぎます。指導者が馬鹿なら、学生も頭が悪くなるのは必定でしょう。これから大学受験を目指す学生達は、よく希望する大学の事を隅々まで調べてから決めましょう。
それから、遺伝子の一部切り取りといっても、標的外の遺伝子も切り取ってしまうことがあります。一つの遺伝子がどのような機能を持っているかは、まだ解明されていません。しかし、最近の研究で一つの遺伝子が複数の蛋白質を作っていること、遺伝子同士が連絡を取り合っていること等が分かってきました。遺伝子同士が互いに何らかの連携を取っているのであれば、無造作に抜き取ってしまったらどうなるのか、誰にも分かりません。それこそ神のみぞ知る、でしょう。言ってみれば生命の創造にも等しい行為で、天に唾を吐きかけるようなものです。このような人智が到底及ばない力を人間が扱いきれるものではありませんし、その資格も無いでしょう。EUは「予防原則」を重視するので、危険と思われるもの、未知の物に対しては原則回避します。だから遺伝子組み換え・ゲノム編集には強い警戒と規制があるのです。それが一番正しいでしょう。
こんな所にも御用学者?
元農水官僚で、一般財団法人キャノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁とやらが訳の分からないことを寄稿していたので上げます。
「火付け役は、私もよく知っている元農水相だった。彼は裏のある人物ではないが、ときどき想像力を駆使してとるに足らないようなことを大問題にしてしまう~(省略)~種子法の廃止によって、外国産の種子に取って代わられ、主要食料の安定供給、食料安全保障に支障をきたすとか、やがて国民は遺伝子組換農作物を食べざるを得なくなるとか、というのが反対理由だった。これについては、私は空想上の主張というか、嘘ではないかと思った。」
自分では碌に調べもしないで人を嘘つき呼ばわりとは、最低だと思いました。ではそもそも法を廃止或いは改正する意味とは何なのか?ということになります。政治と経済に偶然は有り得ません。絶対に何か意味があって事が成されます。「その1」でも説明しましたが種子法廃止、種苗法改正、農業競争力強化支援法成立、食品表示法などが全て一体となって意味を成しています。それぞれがそれぞれを補う形で、権力者や巨大企業にとって都合が良い状況が揃えられています。事実を直視して理路整然と読み解けば、自ずと分かります。この人物は、大企業を利するための御用学者に成り果てていると思います。次に行ってみましょう。
「また、遺伝子組換農作物の販売者としてやり玉に挙げられるモンサントも、家畜のエサや食用油採取のために生産され、欧米ではほとんど食用に向けられないトウモロコシや大豆(欧米では、大豆は食用ではなくヒマワリの種や菜種と同じく油の原料であり、穀物ではなく油糧種子oilseedsと分類される)について、遺伝子組換えを行ってきた。」
これも阿保としか言いようがありません。家畜の餌として遺伝子組み換え食品を使用するのは、家畜に対しても、それらの畜産品を口にする人間にとっても大問題です。またとうもろこしはスピリッツの原料として使われ、アメリカではバーボン作りにも使用されます。現在ではバーボンに遺伝子組み換えとうもろこしが使われています。つまり遺伝子組み換えとうもろこしは、食用として使われているということです。
「誤解があるのかもしれないが、種子法廃止で国や都道府県の品種改良や種子の供給が否定されたわけではない。従来通りと考えてよい。実際には、種子法廃止後、同法と同旨の条例を作った自治体も少なくない。国や都道府県に加えて民間の努力が加われば、品種改良はさらに進展する。~(省略)~いずれにしても、私の直感通り、大騒ぎして反対するような案件ではなかった。」
「実際には、種子法廃止後、同法と同旨の条例を作った自治体も少なくない」とありますが、自発的に自治体が作ったのではなく、ある人の働きかけがあったからです。また、「大騒ぎするほどでもない」なんて、種子法で出来た時代背景・経緯、そして食料と言う安全保障を真剣に考えるなら、このような軽々しい物言いは出来ないはずです。実際には自民党(安倍)が変えたくて変えたくて強く望んでやったことでしょう?安倍は馬鹿だけれど金の匂いには敏感ですから。意味の無い事はやりませんよ。奇妙な言い方ですが、ある意味、悪党に対してはある種の「信用」があります。
仮に農家が貧しいとしても、肥料や農薬に金を払って、品種の開発料には払わないというのは、奇妙に感じないだろうか?一般品種を含め、国や県の試験場が開発した品種についても、元はと言えば国民の税金なので、農家は対価を払ってしかるべきだ。一般品種について、ただで自家増殖してきたこと自体、農家への特別な優遇策である。医薬品については、新薬の試験データの保護期間を定め、その期間中は当該試験データを使ったジェネリック医薬品を認可しないこととして、新薬を開発した権利や費用を保護している。ノーベル医学生理学賞受賞者の本庶佑・京大特別教授と小野薬品の間で特許料の支払いで争われている抗がん剤オプジーボの一月の治療所要額は3百万円である。これは超高額という批判はあるが、新薬を開発したことへの対価である。農産物の登録品種の許諾や許諾料が問題だというのであれば、オプジーボを無料にしろと本庶佑教授や小野薬品になぜ主張しないのだろうか?レコードや小説の著作権も同じである。作曲者や小説家に著作料を払わないなら、芸術は生まれない。」
この言い方だと農家が国民ではないように聞こえますね。日本に限らず、海外でも農家への補助金や優遇はあります。何故って食料は国家の安全保障だからですよ。大事にされて当たり前です。むしろ日本の農家(一部の真面目な専業農家)は農協に搾取され、酷い目に合っています。それを医薬品やレコードに話をすり替えるなど、論点ずらしは馬鹿に共通していますね。
「しかし、度々指摘しているように、農家は貧しくない。それどころか、その所得は一般の国民世帯の所得を大幅に上回っている。(『農家はもはや弱者ではない』参照) しかも、許諾料は大きな額ではない。種苗費は米の生産費の2.8%、許諾料は種苗費の0.2%、米生産費の0.005%にすぎない。」
一般の国民世帯の所得を大幅に上回っているとな。では「証拠」を出してみろ。現在の日本は「国民総貧困」社会です。年収200万円とかざらです。それに対して上回っていてもまだ労力に見合わないのでは?農家の所得も専業農家と「休日農業」でお遊びでやっている兼業農家を合算したものでしょう?実際に専業農家のみで、所得の平均を出さないと意味無いでしょう。それに農協に搾取されている農家は、農薬・肥料、農業機械などの経費を差っ引かれたら、手元には大してお金が残らないと思いますけれどね。
日本の農業関係者で確実に稼いでいるのは農協と、農地を宅地転用して粗利を稼いでいる地主ぐらいでしょう。農業なんて関係者自身も言うことだけれど、収穫の時期と、害虫・病気・雑草の相手するのが一番大変です。誤解を恐れず言えば大変なのはそれだけで、あとは気楽な仕事です。昔の農家は正月休みが三か月あったぐらいですから。暇な時は暇なのです。農家の人は怒るかもしれないけれど、高給貰えるなら農業やってる方が気楽なので、誰でも農業始めると思いますよ。でも実際は苦労に対して収益が少なく、天候に左右され、激務である(そのように見える)から後継者がいないのでしょう。
欧米各国と日本の農家における「所得に対する補助金の割合」を見ても分かります。イギリス・フランスでは農業所得に占める補助金の割合は90%で、スイスではほぼ100%になります。EUの主要国が90%以上なのに対して、日本は30%です。このように、「日本の農業は過保護である」と実しやかに囁かれているのが、全くの出鱈目であるのが分かります。日本は世界でも類を見ない「補助金大国」ですが、農業に関しては例外です。
「悪いのは、ネットではなく、専門的な知識もないのに、世間の関心を引くような主張をする人たちが多いことである。たくさん出版されたTPP反対本は間違いだらけだった。種子法廃止も種苗法改正も同じである。」
全くその通りだと思うけれど、大した知識が無いのはあんたも同じだ。自分の書いたことが、そっくりそのまま本人に跳ね返っていますね。一つ一つ相手の主張を取材や資料による裏付けで突き崩すのではなく、遠間から嘘だの誇大妄想だの難癖付けて攻撃しているだけです。とても卑怯で薄汚い手段で相手を貶しているだけで、全く議論にもなっていません。種子法廃止が大事ではないとか、遺伝子組み換えが日本に浸透する危険性、外国企業による日本侵略などが絵空事であるとか。金でも貰って、印象操作を行っているようにしか見えません。万死に値します。
それから、海外の大規模農業に日本の農家が太刀打ち出来る道理はありません。農作物は沢山作り、沢山消費されるほど単価が安くなります。当たり前の話ですが、所詮食料も薄利多売の原則が適用されます。であれば、TPPがもたらす結果は輸入作物による日本の農家・市場の淘汰に他なりません。より安く、より大量に入って来る商品に必ず負けます。広大な耕地面積を誇るカナダやアメリカに太刀打ち出来ると思いますか?より大量に、効率よく、経費を押さえ、安価に作られた農作物には勝てません。ただでさえ日本は食料自給率が低く、余剰品の処分場として利用されているのですから、拍車をかけるだけです。先進国としては食料自給率38%と有り得ないほど低い数値です。つまり、輸出しようにも売る物が少ないんです。農作物ごとに使用してよい農薬の種類・量を定める国際基準「コーデックス」と言うものがありますが、EUは自主的にこれよりも厳しい基準を独自に設定しています。このコーデックスはアメリカ企業のロビー活動等に影響を受けるので、当てにならないと言うのもあるかもしれません。EUへ農作物を輸出する途上国(タイなど)は、EUに呼応して規制強化を進めています。厳しいEUの基準に適合しなければ、売れなくなるからです。日本は逆に規制緩和を進めているので、当然の事ながらEUの検疫で跳ねられて終わりでしょう。こんな事、子供でも分かる理屈です。新自由主義の傀儡が経済について口を開く時、決まって出てくる言葉が①自由貿易、②規制緩和、③何でも民営化です。どいつもこいつも、まず同じ事を口にします。これらを掲げる連中はまず間違いなく嘘吐きなので、信用してはなりません。
幼稚な頭で便所の落書き程度の事しか書けないなら、そして消費者を惑わして世の中を混乱させたいのなら、とても迷惑で害悪でしかないので、さっさと今生から退場しなさい。
一般財団法人キャノングローバル戦略研究所は他にも、「温暖化は嘘である」という大嘘を流布しています。石油企業などのために印象操作を行っているのでしょうね。YouTubeに動画が上がっています。その内容がまたお粗末なので、どうぞ覗いてみてください。私はキャノン製品を不買します。
巨大農業企業は世界を支配している!!
さて、不愉快な山下何とかをもう少し叩いてみましょうか。
「より重要なのは、これら種子会社が法外な種子代を要求するなど農業を支配しているわけではないことだ。種子会社は世界どころか農業すら制していない。」
これもまたまた嘘八百です。2023年現在、野菜の種の販売は日本の種苗会社が主流なのですが、種採りの9割は海外の畑で行われています。つまり、日本で売られている種子の大半は、日本の物ではないということになります、次に、実例を挙げてみましょう。
〇実例その一
1998年モンサントは、カナダのサスカチュワン州の農家、パーシー・シュマイザー氏を告訴しました。訴状にはモンサントが特許を持つ遺伝子組み換え菜種を、同氏が権利料を支払う事無く栽培している旨が書かれていました。同氏は遺伝子組み換え菜種を購入・栽培したことはありません。調査の結果、モンサントと契約している近隣の農家から飛来した花粉によって、自然交配した事が判明しました。完全に不可抗力で、交配は意図したものではないにも関わらず、一審と控訴審でシュマイザー氏は敗訴しました。むしろ、大事に育ててきた自分の作物がモンサントのせいで汚染された被害者であるのに、逆に損害賠償金を支払わなければならないとは、正気の沙汰ではありません。以下の判決文を読めば、「異常」な判断であることは誰の目にも明らかです。言い換えれば、黒も白に変える、巨大企業の「力」の片鱗がここに現れています。
①どんな遺伝子組み換え作物であろうと畑に生えていれば、どのような方法で入り込んだかは問題ではない。
②在来種を栽培する農家で作物が意に反してモンサントの遺伝子と交雑したとしても、所有物及び収穫物は全てモンサントの物となる。
シュマイザー氏以外にも特許権を侵害されたとして、550件が訴訟に持ち込まれています。
〇実例その二
とうもろこしの原産国の一つであるメキシコ。メキシコ人はとうもろこしが、祖先から代々受け継がれてきた国民の共有財産であると考えています。農家が自家採種するのは当たり前で、特許制度の概念もありませんでした。1994年にアメリカ、カナダ、メキシコの三か国で署名・発効された北米自由貿易協定(NAFTA)により関税が撤廃。メキシコで栽培されるあらゆるとうもろこしを輸入し、種子をゲノム解析した上で育種登録・特許の申請を行ったのが、モンサントやデュポンです。とうもろこしの生産量は協定によって大幅に増えましたが、市場を席巻したのは巨大農業企業のF1品種です。当然ながら、農家はこれらの企業に対して使用料を支払う事を強制されます。2003年1月に10万人規模のデモが起きたことで政府が対応、結果として種子の権利を農民の元へ戻す方向に向かうかに見えました。
メキシコ政府は2012年になって、伝統的な自家採種を犯罪行為として原則禁止とし、政府に登録した種子を毎年購入する事を義務付ける法案の制定に向けて動きを見せました。巨大企業はロビー活動を行っていますので、「そんな馬鹿な」と思うような法案も簡単に出来上がります。これは世界共通です。このように農家の権利と自主性を一方的に奪う法案の事を、批判と皮肉を込めて「モンサント法案」と呼ぶみたいです。当然ながら、農民を中心とした国民の猛反発を食らい、この法案は廃案となりました。これが日本であれば、日本人はとても大人しいのでデモも起きず、泣き寝入りで終わってしまうでしょう。しかし、このモンサント法案は中南米諸国の議会で次々に上げられ、グアテマラでは可決・成立してしまったようです・・・
きりが無いので、これ以上は実例を挙げませんが、これらは氷山の一角です。世界中で巨大農業企業がもたらす破壊的な市場支配と、それを「後援」する権力の蜜月構造には枚挙に遑がありません。この他にも、遺伝子組み換えとうもろこしに発癌性があるとする動物実験が何故か厳しく批判され、雑誌から論文が撤回されたこともあります。批判の対象となったのはフランスの生物学者、ジル・エリック・セラリーニ教授で、掲載された雑誌は「フード・アンド・ケミカル・トキシコロジー」です。
2018年にモンサントが訴えられた裁判では、モンサントにとって都合の悪い事実を隠蔽工作したことが書かれた「内部資料」が、証拠として提出されています。これによって、巨大農業企業が如何に権力や各種情報媒体に侵食しているか、その事実が白日の下に晒されたわけです。山下の言うことが、信用ならないことがよーくお解りなったでしょう。
不謹慎かもしれませんが安倍暗殺で有名になった山上のように、ネット上で所謂「無敵の人」と呼ばれる人達が増えないと、この世の中変わらないかもしれません。民主主義は巨大広告と、金と数の力で簡単に捻じ伏せられますから。ルーマニアのチャウシェスクのように、悪人が公然と処刑されるような世界の方が、正しいと思います。戦争を望んでいる訳ではありませんが、今世界は流血の革命が必要かもしれません。私は、極悪人に人権など不要だと考えています。
ここまで散々扱き下ろしましたが、この人物は農協批判本と言うべき物を出していますが、その内容は的を射ています。TTP賛成とか、遺伝子組み換えについての発言をせず、農協解体だけ叫んでいればいいのにと思います。農協についての指摘だけは、賛同出来る部分が多いと思います。NHK党の立花がNHK以外の事(政治経済)について口を開くと、大変残念な結果になるのに似ているかなと思います。この人物は自民党・農協・農村と結び付いていると言うより、外資系企業に尻尾を振っているのかなと思ったり。
最後に
現在、種子を守る為に日本全国を行脚し、種子法に代わる「種子条例」を成立させるために奮闘している方がいます。農業経営の経験と苦労を知り、弁護士資格を持ち、加えて農林水産大臣まで務めた凄い人、山田正彦氏です。条例は憲法九十四条で保障され、都道府県・市町村・地方公共団体が自主法を制定することが出来ます。条例違反には禁固刑や罰金などが科せられ、強い権限を持っています。一度成立すると簡単に無くすことは出来ません。司法に精通し、市井で苦労をした上に政界まで進出した人物は疑いようも無く信頼がおけると言って相違無く、実に頼もしい限りです。
私は社会に何の影響力も無い弱い人間の一人ですが、個人では力が無くても寄せ集まれば大きなうねりとなります。本来大衆とは大きな力を持っています。今の日本は50%の有権者が票を捨てています。世の中に絶望し、その日暮らしが精一杯。政治への不満・生活苦などは弱者同士の対立へと扇動され、本来協力し合わなければいけない弱い者同士が、不毛にいがみ合っています。その気持ちは分かります。しかし、行動しなければ100%世の中は変わりません。大事な人生ですから、命のある限り精一杯生きて、抗って、不正や悪に対して闘争してみてはどうでしょうか。
合言葉は「自民・公明・維新には票を入れない」、「票を捨てない・選挙には絶対参加する」、「アメリカの言いなりにはならない」、「一人一人に出来る事が必ずある」、「今だけ・金だけ・自分だけの考えは捨て去り、新自由主義の打倒と共存・共栄の真に豊かな世界への再生(回帰)を目指す」です。
私個人が出来る事として、今後もブログの運営、選挙への参加をしていきます。よく学び、知識を蓄えて世に跋扈する嘘を看破し、糾弾していきます。自然を大事にし、使い捨ての生活から徐々に脱却出来るように努力します。そして今回の記事で取り扱った食の安全や、日本の真面目な農家を守る為、自然栽培や有機農法で育てた野菜などを積極的に購入して、少しでも貢献していきたいと思います。