初めに
2025/10/11開封、価格は5,500円。度数46.3度、容量700ml。産地はアイルランド、ロイヤルオーク蒸留所の商品です。低価格帯のバスカー・アイリッシュウィスキー(別記事有り)が非常に費用対効果が高く優れたウィスキーなので、こちらの高価格帯の商品も試してみました。

この商品はモルトと未発芽の大麦を原料に使用し、ポットスチルで3回蒸溜したポットスチルウイスキーです。1stフィルのバーボン樽で熟成させた後、さらにヨーロピアンオークのオロロソシェリー樽で追加熟成を行い、スモールバッチで瓶詰めしています。紛らわしいが、シングルモルト・バッチ2とは違う商品です。これを飲んだのは10月半ばでしたが、まだまだ暑かった。瓶にバスカーの大文字が無いので、落ち着いた感じが出ています。瓶は平ぺったく奥行きが無いので、倒れ易い。
色・香り、味わい
色は濃い琥珀色。ラベルに「NATURAL TINT」と表記がありますが、これは無着色と同義でしょうか?開栓するとバニラか、もっと言えば薄荷の様なすっとした香りがしました。グラスから直接匂いを嗅ぐと、バーボン樽よりシェリー樽の影響が強い香りがしました。つんとして、ワイン樽由来の香りがします。宣伝通り、蜂蜜の香りが確かにします。香りの豊かさから、とろりと滴る蜂蜜を思い浮かべる事が出来ました。煙草や革、香辛料の香りと言うのも何となく分かります。
最初はアルコールが度数以上に強く感じました。中間から現れる香辛料の強い刺激が、アルコールの刺激を増幅しています。この鋭さは、二杯目には少し後退しました。液体は少しとろみがあり、薄い感じはしない。最初の味わいは何とも形容し難い、これまで体験した事が無いものでした。宣伝にある無花果やプルーンと言った、果実の味わいでない事は確か。これから変化するのだろうか。


甘さは控え目で辛口。そこはオロロソシェリーの特徴が出ています。無花果は非常に甘い果実ですが、そのような甘みがあるとは到底思えない。宣伝にある革や煙草香りはむしろ、味覚の方に現れています。宣伝に「柔らかなスパイス感」とあるがこれも正しい表現ではなく、香辛料の刺激は強めと言えるでしょう。やはり宣伝はあまり当てにならない。
締めの味わいのオークは確かにあります。他に紅茶やチョコレートの風味もあるかも。余韻にバニラの風味があります。全体的にバニラの風味、オーク、弱い果実感がありますが辛口な印象。低価格商品の方が分かり易い美味しさがあったと思います。兎に角、この商品は地味で渋い。バスカー・アイリッシュウィスキーと同種の物を期待していると、びっくりするかもしれません。全く別物ですねこれは。
二日目は味わいが最初の一杯と比較するとはっきりし始めました。香りもはっきりしてきたと思います。消費が進むと確かに、味わいに果実感が出て来ました。私の味覚ではプルーンや無花果と言うより、ワイン樽由来の果実感(葡萄)の方が強く感じます。アルコールは初日よりぐっと滑らかになった。バーボン樽の香りも豊かだが、やはりシェリー樽の影響の方が強く感じます。
三日目はさらに美味くなりました。父に勧めてみましたが、美味かったのかすぐに二杯目を注いでいました。余韻に少し塩っ気が出て来て、甘さが開封直後と比較するとかなり増幅した感じで、なんとなく無花果と言うのも分かる気がしました。辛口寄りなものの、果実的な爽やかさや、やや強めだが心地良い香辛料の刺激が見事に融合し、飲み易い。門戸は広いと思います。
最後に
入門用の商品の二倍以上の値段なので、常飲用にするには高い。しかし、文句無く美味いと思います。老舗のスコッチ蒸留所でも、この価格帯で客を満足させられるだろうか。やはりこの蒸留所、只者ではありません。たまに買う分には良い商品でしょう。ご馳走様でした。
あ記事公開 2025年10月25日

