初めに
2021/12/8、結構長い間使用してきたDENONのDCD-1500REから、機能面と音質の向上を期待して購入しました。ネット情報だと否定的な意見がほとんど無く、価格以上の性能との評価が多かったのでずっと気になっていました。
一方で設置環境によっては性能を発揮出来ず、期待外れになる可能性もあるようでした。私が捻出できる予算内でこれが決定版になることを期待して、賞与が入ったらすぐ購入しました。
逸品館にて165,500円で購入しましたが、逸品館ではなくCSRより直送でした。一緒に専用ボードも購入しました。万が一期待外れだった場合、専用ボードが無駄になる可能性もありましたが、何か確信めいたものがあったので恐れず同時購入しました。
内容物、外観
最初に外観や付属品について説明します。まずリモコンを持った瞬間にずっしり重いのに驚きです。前面にアルミを使用しているためこれまで体験したことがないほど重量を感じ、とても高級感があります。
外箱は質素な感じ、梱包は丁寧に緩衝材を敷き詰めています。付属品はリモコン、電線、スパイク、スパイク用のスパナです。
上記は専用ボードのSSB-1です。色は二色ありますが、暗い色が好きなのでブラウンを選択しました。
スパイク受けが付属しています。どうでもいい話ですが、一緒に映っているのはウォレン・トーマスの切り出しナイフです。再生機、専用ボード共に日本製です。ここは重要ですね。
使用環境
DALIのスピーカーを購入した時から使用環境が少し変わったので紹介します。前から気になっていた千曲精密製作所の電源関係の製品を同時期に購入しました。買ったのは電源電線とコンセントです。
電線はやや硬質ですが細いので取り回しは悪くありません。コンセントはアルミを使っていますが、とても面取りが綺麗です。私は少しばかり機械加工を齧っている身ですが、アルミは鉄と比較して柔らかく加工しやすい分、傷が付き易いです。フライスで面取りカッターを使って加工したり、回転砥石で手付けしてもあまり綺麗に仕上がりません。この製品の面取りは綺麗に仕上がっています。表面がヘアライン加工してあり、丁寧な仕事をしているのが分かります。oyaideと千曲のコンセントにoyaideのコンセントキャップが嵌められているのに注目です。これを嵌めたところで音質に影響は無いと思いますが、埃対策になるのでよく使っています。
音質に関してですが、oyaideのコンセントと比較してもはっきりとした違いは分かりませんでした。値段はこちらの方が高いのですが、残念ながらどこが変わったのか分かりません。綺麗な調度品として満足しておきます。
音質、性能面
まず公式より下記に諸元表を載せておきます。
アナログ出力(バランス1系統) 出力レベル5.0V(適合負荷インピーダンス5kΩ以上) |
アナログ出力(アンバランス1系統) 出力レベル2.5V(適合負荷インピーダンス5kΩ以上) |
周波数特性 :8Hz~20kHz (±0.3dB) |
S/N 比 100dB |
ダイナミックレンジ 96dB |
全高調波歪率 :0.0022% |
チャンネルセパレーション :98dB |
デジタルフィルター 24bit 8 倍オーバーサンプリング |
アナログフィルター 3 次パッシブ型 |
デジタル出力(ダイレクト) :0.5Vp-p/75 Ω |
デジタル出力(ノーマル) :0.5Vp-p/75 Ω |
電源電圧 AC100V 50/60Hz |
消費電力 31W |
最大外形寸法 本体: 本体: 430(W)×109(H)×393(D)mm (スパイク装着時) |
質量 9.0kg |
付属品 スパイク、リモコン、電源ケーブル |
JANコード プラチナム・シルバー:4580197833583 ブラック:4580197833590 |
操作感についての感想を述べます。ディスクトレーの作動はきいっと少し引っ掻くような鈍い音を一瞬立てた後、がちゃりと重く機械的に動きます。トレーの動きはDENONと比較するとかなりゆっくりな感じです。思わずにやり。この時の作動音や動きだけで一気に好きになりました。
読み出しは速い!DENONが遅いだけかもしれないですが、段違いに速いです。DENONは買った時から妙に読み出しに時間がかかったり、いつまで経っても読まない事が結構ありました(恐らく埃が付着し易いのが原因の一つ)。それから曲送りも比較すると凄く速いです。DENONは釦を押す度に止まって読み出して、もたもたしている印象ですが、これはさっさか送ることが出来ます。しかも一番最後の曲から出すことも出来ます。早送り・巻き戻しも速いです。控えめに言って3倍は速いです。
上の画像は天板と起動後の正面の表示を撮影したものです。電源を入れると放熱口から内部が橙色に輝いているのが確認できます。それから曲数や時間の表示が、すぐ下に鏡面のように映っているのが分かります。必ずしも必要な機能ではありませんが、こういうのは個人的に好きです。見た目も大事。
次に気になった点について。天板は少し安っぽい印象で、叩くとぽぉーんと軽い音が響きます。板が薄いのでしょうか。仕上げはあまり綺麗ではありません。放熱口は埃が入りそうで気になります。ここはもっと上手くできたのではないかと思います。それから、ディスクトレーの下にあるsoulnoteの文字が入った銀色の銘板は、個人的に安っぽくて格好悪いのでやめて欲しいです。どうせなら黒の筐体に隠れるように、漆黒のシルクプリントみたいなものにした方が素敵だと思います。
次に音質について。まずは付属のスパイクを使わず、付属の電源電線を使用しました。さらにsoulnote純正のボードも温存。ラックに直置きで、全く底上げの無い状態で聴き始めました。はっきり言って、まだ慣らしが済んでいない状態でもDENONと同等の性能、或いはそれ以上の力があるのが即座に分かりました。
スティーヴン・ウィルソンが関わっているバンド、BLACKFIELDのBLACKFIELDⅡが最初に聴くアルバムとなりました。一曲目のドラムのばちをちっちっと叩き合わせる音が実に生々しく、響の良さと乾いた音の表現が秀逸で感動しました。
その後Porcupine TreeのArriving Somewhereのライブ音源を続けて聞きました。拍手の音が凄かった!いつもはどうしても演奏ばかりに耳が傾きますが、騒々しいと言うか、聴衆の声援や存在感を意識させられたのは今回が初めてです。
低音はより重たく、耳朶と腹に響いてきます。ベースの音がまるで雷のように感じました。音割れしているのだろうか、それともこれが本来の音源の音なのか、その時はよく分かりませんでした。
音の立ち上がりが速いと言う触れ込みですが、ドラムを叩く速度は実に軽快です。エレキギターの音は歪みやうねりがよく伝わって来ました。角が立ってばりばりとした電気音に聴こえ、脚色なく生成な感じがあります。
soulnoteの第一印象は豪雨と轟雷。低音がぼわぼわとしているようにも感じましたが、全ての音が余すところなく再現されていると思います。普段は地味な作業に徹しているリチャード・バルビエリのシンセサイザーが存在感を醸し出しています。
音の立ち上がりが速いと言うのは身をもって体験しました。もたつきが無く、音の読み出しが正確・迅速に行われていると確認出来ました。大げさに言うと、早送りしているような感覚がありました。
音の解像度、分離はDENONと比較してさらに高まったと思います。DENONでは聴こえなかった音が確認出来ました。慣らしは数日~終週間かかると思いましたが、数時間で顕著に変化が現れました。まずドラムの音質が滅茶苦茶に良くなりました。後で知った事ですが、どうやらここの製品は出荷時点で慣らしが済んでいるらしいです。
翌日、BLACKFIELDのライブ盤を聴きました。ばちで拍子を取る時に聴衆が喋るのを止めて、開幕の期待と緊張による静寂の中で音が鳴っているのがよく分かりました。リードギターなどに普段隠れがちなシンセサイザーの音も、我こそ主役とばかりに存在感を発揮していました。聴衆のがやがやとした話し声の反響から、ライブ会場の広さが分かるような気さえしました。この日、昨日はあった低音のぼわつきは無いように思えました。原因は不明。ホワイトノイズは少し増加したと思います。また、グリッチ音も目立つようになったと思います。二日目に思う事それは、この機種は音源を正確に再現し、最高の状態で出力する事のみを使命に生み出された忠実なロボット。そんな印象です。
思ったより早く慣らしが進んでいるので、純正のスパイクを装着してボードに載せてみることにしました。スパイクは凸型で設置。試験用で再びBLACKFIELDのライブ盤を試聴。音に落ち着きが出たと思いました。大人しくなったとも言えます。無垢なアコースティックギターの生の感じが伝わって来ました。低音は後退したと思うので低音の量が欲しいのなら、スパイクを使わないかボードに直刺しが良いのかもしれないです。使用前・使用後で共通して言えることは、一音一音の歯切れの良さは不変でした。
二日後、soulnoteは付属の純正の電源電線が一番良い傾向にあるが、C-1は替えることで良い方向に働いたという報告が確認されています。よって、oyaideの電源電線に替えてみました。この変更もコンセントと同じく、大きな音の変化は無かったと思います。
この日に試聴したのは …And you will know us trail of dead の一作目。このバンドは音が混沌としてごちゃごちゃしているきらいがありますが、soulnoteに替えた事で音の濁りが取れたと思います。しかし、高音の音割れと言うかばりばりとした感じ、ぶぅーんという鳴りが気になりました。金属のスパイク受けが原因で高音が硬質化している可能性があるので、設置を凹型に変更しようか検討しました。
四日後、スパイク受けを凹型にしてみました。音場が近くなったと思います。試聴したアルバムは…And you will know us trail of deadの二作目Madonna。いつも冒頭にある…And you will~の声がすぐ耳元で囁かれているように聞こえました。高音が減退して落ち着いたような気がしますが、スパイクの凹凸は個人の好みでいいと思いました。
さらに十日後、音割れのような感じは鳴りを潜めたと思います。この日はLongpigsの一作目、Sun Is Often Outを試聴しました。このアルバムは音が詰め込まれ結構騒がしく聴こえますが、音の分離が良く濁りが取れ、しっかりと細部まで聴き取れました。soulnoteの公式見解としては凸面を上にして使用するのが基本のようです。これで音が硬く聴こえて気になる時は裏返せばいいらしいです。その場合は開放感が後退するようです。C-1の慣らしが進んで落ち着いてきた今なら、凸面を上にしても良いと予想しました。
年が明けて2022/1/2となりました。音割れについては原因はよく分かりませんが、もしかしたら暖機が関係するかもしれません。自室が北西に位置している上に暖房も無く底冷えするので、冬場は機械にとって良い環境にないかもしれません。
最後に
性能は期待通り、しかし設置環境によっては十全に力を発揮できない事、取り扱いは時に繊細さが必要だと言うのを実感しました。替える前より音が悪くなるようなことはなかったので、ひとまず安心。音量の摘みが同じ位置でも増大した音の圧と力、まるでぱんぱんに空気が詰まったような、内から膨らむような圧倒的な音の開花を肌で感じました。慣れと言うのは恐ろしいもので、このような高級機も当たり前になると感動も薄れていきますが、今はまだ時折この高音質に感動を覚えています。
後は、アンプやラックなどもsoulnote純正で統一した方が相性が良く、さらに性能を引き出せるかもしれません。専用ラックは板に大きく開放があり、音抜けが良いようです。こうなってくると泥沼ですが、新たな目標が出来たことは嬉しくもあります。専用ラック、アンプのA-1やA-0あたりが次の目標で、バランス接続もいよいよ試してみようかと思っています。