酒と人生、バー通い 其の四

  • 2022-12-31
  • 2023-08-27
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2022/12/30、日頃の自分自身に対する労いとして、2022年の締めくくりとして美味い酒をと思い、外へ飲みに行きました。まだ冬至を過ぎたばかりなので流石に日の入りが早く、西の空が昏く燃えるような色彩を放っていたと思ったら、数分後にはすっかりと暗くなっていました。代謝が良いせいか体は寒く感じないものの、そこそこ冷えるらしく手がやや悴み、頭は冷気で少し頭痛がしました。

これから飲むぞと思うと30分の歩きは苦でもなく、相変わらずどうでも良い妄想を繰り広げながら前進しました。コロナ感染拡大も何のその、街中には大勢の人達が年末の空気に浮かれて集まっておりました。

まずは食欲を満たすべしと思い、手ごろな価格でそこそこ美味い居酒屋に入りましたが生憎の満席。見た感じはがらがらでしかなかったのですが。最初カウンター越しに女性店員が「何名ですか?」と聞いてきたので一人だと答えると、一杯なのですいませんとの返事。最初から満席だと答えれば良いものを、人数を見て断ったのでしょうか?所謂テーブル席は空いているものの、一人だけの客を通すと割に合わないとか・・・訝しみつつ店を出ましたが、最近まともな受け答えが出来ない人達が増えているような。予約は取らない主義なので(忙しくて先の予定を組めない為)、個人的には予約制は止めて欲しい。たまにできた暇な時間で来る人、それでしか来られない人達が多くいるのに。これは単なる愚痴になってしまうでしょうか。

結局、いつものラーメン屋で済ますことに。豚骨ラーメンの店ですが台湾ラーメンも提供しているで、それと生ビールを注文。期待していなかったのに意外と当たりで、辛い物好きの自分でも少し涙が出るほどの辛さでしたが、美味かった。汁を殆ど飲み干すほどには美味かった。

B店に入るとまだ開店してから間もないせいか、他に客はおらず。客が増えてくると店主との会話が少なくなるので、客足が増える前に時事的な事やお互いの近況など、会話に花を咲かせました。

最初にいつも旬のカクテルを頼むことが多いですが、この日は何か暖かい物をと思い、お任せで身体が温まるカクテルを作ってもらいました。オリジナルカクテルのようで、カミュXOクレム・ド・カシスを使った一杯。甘すぎず、浮かべたレモンが良い香り付けとなり、上品な紅茶のようなお酒でした。

次に注文したのはマルキ・ド・ビブラックのアルマニャックとヘネシーVSOPをハーフずつ。どちらも特級表示が有りました。アルマニャックを一度も飲んだ事がなく、試してみたいと思っていたのでコニャックと比較しました。アルマニャックの方が男性的と言われるようですが、確かにヘネシーの滑らかさや柔らかさと比較すると、瞬間的にぴしっとした強い香りを感じた気がします。アルマニャックとコニャックでは生産されている地方だけでなく、蒸留の仕方も違うようです。

夜が更けるにつれて客が増え、店主が電話で予約対応をする姿も。入れ替わり立ち代わり、いつの間にか満席に。店主はあまりバーに馴染みが無く、酒の知識がそれほど無さそうな客に対しても親身に対応していました。ウィスキーの飲み方を教授する時、あまり酒に強くない客に対して余計な気遣いで水割りやロックなど無難な方法ではなく、敢えてニート(常温ストレート)を勧める姿にニンマリしました。幸せそうな若い男女、男女混合の友人同士と思しき組、男友達同士、随分酒に詳しそうな如何にも呑み助風の中年男性など、色んな人達がカウンターについていました。他人が至福の微笑みを湛える姿を見ると、こちらも気分良く幸せになれます。他人の幸福を素直に祝福し、悲しみには涙できる素直さと心の清らかさを持っていたいものです。

以前からグラッパなる酒が気になっていたのでお任せで注文するとサシカイアのグラッパとジャクロのマールを出してくれました。どちらも葡萄の搾りかすで作るお酒です。上澄みを使用した酒はフィーヌと呼ばれるようで、分類が多過ぎてこんがらがってきます。ジャクロは葡萄っぽさと言うか、やや強い酸味や発酵臭を感じたのに対して、サシカイアは悪口ではなく野暮ったい感じ。あまり洗練されてない野性的な酒と言うか、青臭さなどを感じました。搾りかすだけでなく、葡萄の房も使っているようでその辺りに違いが出るようです。テキーラに対するメスカルのような印象(テキーラも野趣溢れる酒ですが)で、このような牧歌的な土臭い味わいはかなり好みでした。マールの方も美味しかったです。果実を使った蒸留酒であるブランデーと言う大分類の下に、マールやグラッパと言った小分類があるみたいですね。まだまだ浅学。

次に「何か珍しいスコッチが飲みたい」と適当な注文をしたら、閉鎖された蒸留所の貴重な酒を出してくれました。キンクレイスノースポートの商品です。特にキンクレイスは幻中の幻と言われました。ノースポートと聞くと港町のような印象を受けますが、実際は「北門」を指す言葉のようです。ノースポートは最近飲んだオールドバランテュランに近い感じがしました。果実感があり、カスクストレングスの割には何故かあまり強烈な喉の渇きを覚えず、飲み易かったです。ただ20年物である上、希少酒の割には期待以上の味ではなかった。キンクレイスは一杯○○○○円なのでハーフで出して貰いましたが、はっきり言って(その場では言えませんでしたが)値段に見合った価値はありませんでした。瓶内で抜け等の変化があったのか理由は分かりませんが、膨らみが無く旨味も弱い。何か気の抜けた弱弱しい感じでした。非常に残念。

気を取り直して最近新規開拓を進めているウォッカを頼みました。「ロシア以外で」との一言を付け加えて。登場したのがエクセレント・スイスウォッカ。最初着色されているのかと思いましたが、瓶が色付きなだけでした。何故か冷凍庫できんきんに冷やして保管しているようで、これまた冷凍庫でしっかり冷やされた小さくて可愛いグラスに注いでくれました。冷えすぎていたせいか、あまり直に味が伝わって来なかったのが残念。不味くはなかった筈ですが、美味い!という印象もありませんでした。ライ麦を原料にしており、瓶の裏側の英語表記をざっと流し読みしたところ、アルプスの雪解け水を使っている様子。ウォッカはジンと同じで「何処でも作れる酒」ですが、何処でも美味い物に仕上がる訳ではありません。やはり紛い物と言うか、胡散臭い蒸留所が何処にでもある気がします。店主はあまりジンとウォッカに力を入れていない(あくまでカクテルの材料と思っている?)ような気がしますが、私の個人的な意見では下手なスコッチより上質なジンやウォッカの方が美味いです。

最後の一杯は家路に着く前に体を温めようと、再び温かいカクテルを頼みました。モーリシャスのラムを使ったチョコレートカクテル。予想を裏切り全く甘くありませんでしたが、とても良い香りで少し温めなのも良かった。会計を済ませ、年末の定型的な挨拶を交わし店を出ました。今回も良い経験になりました。家で飲むより高くついてもバーに行くのは、何と言っても勉強の為。

教訓その一。必ずしも市場に出回っていない珍しい酒、年代の古い酒(原酒が豊富にあった時代の酒)が美味いとは限らない。

その二。何にでも言えることだが、高い物が必ずしも優れている訳ではない。

その三。グラッパとマールは美味かった。これが知れただけでも散財した価値がある。

その四。十人十色と言うように人の好みは様々。また、経験豊富な専門家の意見が常に正解ではなく、時に素人の直感の方が正道を示すこともある。

古いモルトは追及するときりが無いので、早々に見切りをつけるべきかと思いました。いつまでも古い味わいを懐かしむのではなく、現行品に慣れる事、新しい蒸留所でも良い酒造りをしている所はあるので、未来を見据えることも大事だと思います。知らない銘柄や初めて飲む種類の酒の場合、向こうのお任せにすることが多く、たいがい良い結果となるのですが。今回のキンクレイスのように個人的に外れを引いてしまうこともあります。勉強は金を払ってでもすべきだと思うので、無駄とは感じていませんが。来年も世界が滅びていなければ、足を運んでみたいと思います。

・・・と言う記事を書いていたところ、ようやく頼んでいた物が配送されました。配達員は外国人でした。年末年始問わず、働き回っている配送業者に頭が下がります。また音響関係の商品に手を出してしまいましたが、これについてはまた別の記事で。

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