初めに
2024/9/30開封、価格は6,050円。度数40.0度、容量700ml。産地はスペイン、蒸留所は・・・不明。販売店にも瓶の表示にも、蒸留所名は記載がありません。年12回、満月の日のみ蒸留されるジンです。アランビック蒸留器で三回蒸留されています。名前の通り、錬金術にちなんだ蒸留法ですね。見た目や名前からして興味をそそられますが、マスカットを材料に使っているのが珍しかったので購入しました。マスカットとシーフェンネルを使用した初のジンだとか。
使用されている材料はマスカット、コリアンダー、オレンジとレモンの果皮、セージ、カモミールなど21種類。とても奇麗で見易い公式サイトがあるので、詳しくはそちらを参照。あまり目にしない材料も多く使われていると思います。
色・香り、味わい
色は無色透明。開栓直後に漂ってくる香りは、上品な香水のように感じました。つんとした刺激、深緑の爽やかさもあり、悪くない。第一印象としては、すっとした薄荷が強く甘い。グラスに注いで匂いを嗅ぐと爽やかさを感じますが、実際に飲んでみるとこの薄荷が強い。セージの効果と思われます。
度数は40度で特別強くありませんが、それにしてもアルコールが非常に滑らかに感じられます。滑らかと言うより弱いと言うか、なるくて芯の無い感じとも取れます。香辛料的な刺激が弱いのも相まって、とても大人しいジンに感じられます。
材料が21種類も使われていますが複雑さは伝わって来ず、垢ぬけない感じの土臭さが目立つ印象。オレンジやレモンの果皮を使っていますが、柑橘らしさは希薄と思われます。柑橘の個性が強いのはあまり好きではないので、私には丁度良かったですが。最初は、マスカットの風味は全く感じられませんでした。
前述した薄荷のような香りはセージ由来と思われますが、セージにはツヨンが含まれるので、このジンはアブサンの風味に、少し近くなっているかもしれないと私は感じました。アブサンは度数も香りもかなりきついけれど、それを弱くしてだらっとした感じ。と言ったらいいのか。多分、肝心のジュニパーが弱過ぎるのではないだろうか？と言うのが私の推測です。つまりジンらしくない。
どうでもいい話ですが、写真撮影中に蛇の死骸を見つけました。私が子供の頃はたまに庭に現れたり、家の中に侵入する事もありましたが、最近はとんと見なくなりました。これも気候変動の影響でしょう。熊が団栗不足で人里に現れるように、きっと蛇も食べるものが無いのでしょう。本当に哀れです。人間は蛇とか椿象（かめむし）を大した理由も無く嫌いますが、彼らは愛すべき隣人であり、生態系を支える重要な存在なのに、どうして駆除するのでしょうか。全く理解出来ませんね。
最初の印象はあまりぱっとしない感じでしたが、三杯目からマスカットを感じられるようになってきました。1/3以上飲んだところで、ようやくジュニパーらしい香りが見えて来ました。最初の方は随分と甘く感じましたが、途中からジュニパーらしさが出て来た事に加えて、苦みや辛口な感じも現れ始めたので、落ち着いた印象になりました。後半は徐々に表情を変え、香りも変化して楽しませてくれました。特に香りはカモミールやカルダモンが効いてきたのか、開戦直後よりさらに上品で華やかに感じられました。
ジントニック
フィーバーツリーのトニックウォーター、メディトレニアンを使ってジントニック。カクテルにしても薄荷は健在ですが程良い感じ。僅かな苦みを伴うすっきりした味わいになります。
エルダーフラワーにすると、元々主張が強い薄荷を抑え込んで、トニック自体の香りが鮮明に表われます。甘く果実的ですが、ジン本来の個性や旨味が消えてしまう印象。このエルダーフラワーのトニックは、結構果実的な風味が強く出るので、好き好きだと思います。結局のところ、手に入り易い定番のウィルキンソンが一番かもしれません。癖が無く使い易いので。
最後に
スペインのジンなら私はキュービカル、ショリゲル、ジンマーレ等をお勧めします。アルケミストの最初の印象はそれらに遠く及ばない感じでしたが、後半は伍する程の水準を感じ取れたと思います。ただ、費用対効果では勝てません。月の恵みはよく分かりませんが、名前や見た目の強い印象を落とさないぐらいの品質はあったと思います。最初の方はあまり美味くないと思いましたが、後半から評価が上がったジンでした。記念に一度購入するのは、悪くないかもしれません。
記事公開 2024年11月17日
