初めに
2022/10/8開封、価格は2,530円。度数38.0度、容量750ml。産地はスペイン、メノルカ島のマオンにあるショリゲル蒸留所です。家族経営を行っており、生産された製品の内、四割ほどは輸出に回されています。スピリッツは他の多くのジンと違い、穀物や糖蜜ではなく葡萄を元に作られております。また、使われている原料は水とジュニパーのみという簡潔さです。瓶詰の際に希釈(加水)をしていないのも珍しい特徴です。

天然ガスや化石燃料を使用せず、伝統的な木材を燃料にした銅製のスチルでの製造を継続して行っています。まだ多少、コロナの後遺症を引き摺っていますが、九割程は味覚が回復したので酒飲みを本格的に再開しました。
色、香り
液体は無色透明。ジュニパーの優しく華やかな香りが良いです。
味わい
最初にやや強い苦味と少し塩っぽさが立ちます。余韻にも苦味が暫く残ると思います。アルコールは強く感じられますが非常に滑らか。水のように飲めます。爽やかさと華やかさが鼻腔を抜け、落ち着いた甘さがあります。非常に均衡が取れたジンで完成度が高いと思います。この値段でこの水準の商品を作るのは大したもの。
ところで、この商品はキャップの締りが良いのが印象的。手ごたえがあって確実に締まる感じがするので、漏れや抜けの心配がありません。
2025年9月22日再評価
三年ぶりぐらいに購入したので、改めて評価したいと思います。通算二本目。香りはジュニパーだけでなく、柑橘系の匂いがある事に気付きました。初めての時と違い、今回はアルコールが非常に滑らかに感じました。口に含むと質量を感じさせない軽さがあり、とても優しい。ジュニパーしか使っていないので、やはり味わいは単純。それでいて、ジュニパー以外にも柑橘系の味わいもあると思います。味わいにくっきりとした輪郭は無いけれど自然に、静かに体の中に浸透して来ます。

少し滑りを感じる舌触りがあり、香辛料の刺激は程良く、余韻は植物の様な青臭さがあります。不思議とカレーのような香り(胡椒以外の香辛料)も味覚で感じます。灰汁の様なものも感じられます。さっぱり爽やかな風味で、中間から締めにかけて苦みがあり、やや辛口寄りだと思います。とても地味であり、そして滋味がある。注意深く味わわないと、本質を見極められない。酒に酔う事ばかり考えていると、ショリゲルの良さに気付けないでしょう。



ここ数年、非常に多くのジンを飲んできたので、自分の味覚や好み、評価基準も変化していると思います。今の率直な感想は、材料がジュニパーのみだと物足りない感じがします。他の材料も混ぜた方が美味いと思う。一方で、ジュニパーのみの単純で素朴な味わいは好ましくもあり、じっくり味わうと段々良さが分かってきます。沢山の材料を使うジンはいくらでもあるので、ショリゲルはこの姿勢を貫いて欲しいです。
ジントニック
自然栽培のライムが手に入ったので、ジントニックを作りました。これまでの経験で、ジントニックにライムは必須だと思います。近所のスーパーで中々ライムを売っていないので、調達に時間がかかりました。只今究極の(自分好みの)ジントニックを作るべく奮闘中です。
トニックはウィルキンソン、グラスはリーデルのタンブラー。トニックとグラス、計量カップを冷凍庫でよく冷やしました。ジン45mlを使い、氷を沢山入れたグラスの八分目ぐらいまでトニックを注ぎました。丁度トニックを半分使うぐらいで、二杯作れました。ライムを絞った上で、くし切りにしたライムを添えました。トニックが甘いけれど、ライムの強烈な酸味と香りがそれを抑制してくれたと思います。

一方でライムの強い存在感が支配的になり、ジンの味わいが後退したかもしれません。ライムの絞り汁を使い過ぎると、ライムの強烈な風味や酸味が勝ってしまうかも。正確に調整したいなら、ライムの汁も計量した方が良いでしょう。二杯目はライムの汁の量を少し抑えました。ショリゲルに足りない味わいの複雑さは、ライムを足す事で少し補えるかもしれません。ジュニパーのみを使っているせいか、ジントニックにした時にジュニパーがしっかり香って来て、悪くない出来だと思います。ライムを使うと甘過ぎずさっぱりして、良いジントニックになるでしょう。
最後に
スペインのジンは外れが少なく、美味い物が多いと思います。久しぶりにショリゲルを飲みましたが、以前より厳しくなった自分の味覚でも、中々高評価のジンだと思います。私は古い記事を度々見直して、誤りがあれば訂正しています。画像が気に入らなかったので、新たに撮った写真に差し替えました。馬鹿みたいに長く続いた残暑が漸く終息しつつあり、秋の虫の音を聴きながら、心地良い秋の夜気に囲まれて飲む酒は乙なものです。
記事公開 2022年10月30日
最終更新 2025年9月23日